[映画の感想]『愚行録』みんな嘘つき。自分のことばっかり。

[映画の感想]観てしまいました。豪華な俳優さんたちの演技バトルが楽しめる映画なんですけど、内容が内容だけに観終わったときに残ってる感情もこれまた大変なものになります。いやーオープニングからグッと心を掴まれるのってホントにいいですよね。
愚行録

(C)2017「愚行録」製作委員会

 

愚行録

監督:石川慶/2017年/日本/120分

 

劇場公開日:2017年02月18日劇場公開 公式サイト

 

映画川柳

ペラペラと 言いたい放題 嘘合戦

 

ざっくり、あらすじ

誰が、殺したんだ。
 
一家殺人事件を追う記者田中(妻夫木聡)と殺された一家と関わりのあった人たちの関わりの中で見えてくる真実と嘘。

感想、思ったこと

ただの殺人犯は誰だっていうミステリーかなっていう風に観ると多分つまらないんだけど、そこに至るまでの過程で見えてくる、人間の愚かさっていうのが嫌なくらいまとわりついてくるんですよね。これがたまらないわけです。気持ちよく映画館を後にしたいって人は観ないほうが絶対いいですよ。

■妻夫木聡と満島ひかり

主人公は雑誌記者の田中という何とも冴えない男なんですが、演じている妻夫木聡がやるせない何とも言えない表情で関係者と話している様がホント巧いんですよね。相手をその気にさせるいやらしさとか見事に体現してたなーって思います。
それとですね、オープニングのバスのシーン。これがホントにやばい。どうしたらこんなの思いつくんだろうって思うくらいに見事なシーンで真似しようかと思うくらいでした。これが電車だとまた違うんだよなーって思うんですよね。バスってすごい小さなコミュニティの中にあるから電車のそれとはちょっと違うなーって思ってて、生活感がすごい出てくる気がして、だからこそ日常に潜む愚行としてガッと心を鷲掴みにしていったんだろうと思うわけです。これは上手く説明できないので、観てください。ニヤけます。

で、妻夫木聡の妹を演じるのが満島ひかりなんですけど、彼女捕まってるんですよね。虐待で。これがまた死んだ魚みたいな瞳でこっち見てくるんですよ。これはもう彼女じゃなきゃダメだっただろう役柄で、いなかったら成立しなかったでしょうね。本当に。
注目してほしいのは彼女が話すときの癖ですね。意味ありげに映してくれているので見逃すことはないと思うんですけど、これが重要だなーと思いました。

その他の方々も相当気合い入ってて、邦画界でもかなり若手実力派が集まってます。特に小出恵介は殺された一家の一人なのですが、マジで嫌なヤツ。もう素なんじゃないの?って思うほどにイヤなヤツでした。マジで注目です。

 

■日常に潜むもの

この映画で描こうとしてるのは犯人は誰だ的な側面のミステリーだけじゃなくて、日常的に僕らがついてる嘘とか美化されてる過去とかそういうのの気持ち悪さだと思うんですね。
登場する人物たちがどいつもこいつもイヤな感じで描かれるんですよ。でも、いるんですよ。自分の周りにもこういう人たちって。というか自分も含めてです。
大学の内部生、外部生のヒエラルキー的なもの。『桐島、部活やめるってよ。』で描かれてた高校のそれとはまた別のもうちょっとドロドロしてるヤツが描かれるわけです。僕も大学はエスカレーターで上がってきてた付属校の子とそうじゃない子といて、やっぱり最初は彼らとは相容れない何かがあったなーって思いました。映画の中で出てくるそれとはまた違うんですけど、ありますよね、自分より階層の上の人間とつるんでいたいみたいな羨望。それに伴う妬み、嫉みみたいなやつ。
だからこそ、この映画が描こうとしているものにどこか共鳴しちゃったんだろうと思いました。

久々にニヤニヤするイヤなタイプの邦画が観れて大変満足です。

 

愚行録

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