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[映画の感想]『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』犠牲と代償。何を口にしてもネタバレの恐れ。

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[映画の感想]2008年に公開された『アイアンマン』から始まったマーベル・シネマティック・ユニバースも今年で10周年。そんな記念すべき年に公開されるということで公開前から話題騒然のインフィニティ・ウォー。公開日に日本最大のスクリーン大阪エキスポシティで鑑賞。開いた口が塞がらないお祭り超展開ムービー。言いたいことがいっぱい。ごめん、ネタバレしそう。けど、頑張る。

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

(C)Marvel Studios 2018

目次

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

Avengers: Infinity War/監督:ルッソ兄弟/2018年/アメリカ/150分

劇場公開日:2018年04月27日劇場公開

映画川柳

どこに行く MCUは 終わらない?

ざっくり、あらすじ

アベンジャーズというか、全宇宙がピンチ。

マーベル作品にちょこちょこ登場していたサノス(ジョシュ・ブローリン)がついに動き出す。宇宙に6つあるインフィニティ・ストーンをすべて集め、全生命の半分を消し去ろうとする。それを食い止めるべく立ち上がるアベンジャーズの面々。地球と宇宙を舞台に壮絶な戦いを繰り広げる作品。



感想、思ったこと

<マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)>は、2008年に公開された『アイアンマン』から始まる、マーベルコミック原作ヒーローの作品群のこと。個々のヒーローを描いた作品と彼らが集合して戦う姿を描く”アベンジャーズ”の名前が付くお祭り騒ぎ的な作品の2種類で構成される。今回は10周年という記念すべき年で全体の19作品目にして、お祭り系の3作目。つまり、一見さんお断りな部分が多い。いきなり観たら、「この人、誰?」ときっとなる気がする。逆に言えば、これまで毎年のように新作を楽しみに追い続けてきた身としてはご褒美的な側面が強い。

あの人とこの人が共演して、一緒に戦う、そのコンビネーションだけでお腹いっぱいになれる。

内容に触れないで魅力を伝えるなら、ここまでって感じ。いかに積み上げられて作られた作品なのか、すごいことが起きているのかという部分しかお伝えできない能力の低さは謝ります。

冒頭からぶっ飛ばしていく超展開の数々は映画館の暗闇でしっかり集中して、ワンシーンも見逃さないで欲しい。

※以下、核心的な部分には触れませんがネタバレを含む内容となっています。何も知りたくない方は鑑賞後に再度お読みいただけると幸いです。※

■最凶の敵・サノスを軸に描くヒーロー群像劇

ヒーロー映画の鉄則的な構図である、”ヒーロー(正義)VSヴィラン(悪)”という基本的な部分はちゃんとある。なのに、今作はどうも純粋なヒーロー映画という風に見れなかった。

絶望的な状況に追い込んでいくサノスがどこか人間臭さを持っていて、彼が「インフィニティ・ストーンを集めるまで」の姿を軸に据えている。サノスが主人公と言っても過言ではないくらいの出番の多さ。なにせ、エンドロール後にいたっては「サノスは帰ってくる」だからね。意図的にそう作られた映画。

6つのストーンを集めると全宇宙の生命体をパチンと指を鳴らすだけで消し去ることができるだけのパワーを得ることができる。サノスはこのパチンがしたい。哀しくも歪んだ正義のために。彼は彼なりに宇宙を救おうとしている。よくある人口増加、食糧難、エネルギー問題などなど。自らの故郷が見舞われた悲劇を繰り返さないように惑星をめぐりながら、その信念を貫き通している。

犠牲を払いながらも目的を果たそうとする彼の前に立ちはだかるのがアベンジャーズの面々とガーディアンズ。もうどっちを応援していいのやら状態になる。大勢を救うために犠牲になる少数ってのもヒーロー映画では度々取り扱われる問題なのだけど、それを悪役であるサノスを使って描くのだから、すごい。

不満なところはガモーラとサノスのヴォーミアでのシーン。サノスが彼女を想っていたような描写がほとんどなくて、とにかく無理矢理に感じた。気を遣っている印象はあるけど、それはインフィニティストーンのためだろうし。涙を流せばいいのか?そうじゃないじゃん。もちろん、彼女の星を襲って、老若男女誰かれ構わず殺戮を行った中で救ったのがガモーラで大切に育ててきたというのはわかる。うーん。ああ、ノーウェアのシーンで彼女の中に残る情を確認して、「やっぱり、娘は娘だ」と、愛が強固なものになったのかな。わからん。

■ヒーローたち、それぞれの想い

もちろん、ヒーローたちもその計画を知った以上、黙ってやられるわけにはいかないので戦う。けど、『シビル・ウォー』でアベンジャーズは決裂中。ソーはアスガルドを失い、ハルクも宇宙にいてと圧倒的に不利。サノスもそこを狙って動き出したんだろうね、機は熟したってところ。

けれど、圧倒的なサノスのパワーに宇宙で出会ったソー・ロキ・ハルクはボロ負け。
地球へインフィニティストーンを探しに来たサノスの手下に苦戦をするヒーロー軍団。ここでの戦い方にもこれまでに描かれたそれぞれのヒーローが持つ信念が反映されていることに気付く度に感情が動かされる。
被害を出したくないアイアンマン。誰一人と犠牲にしたくないキャプテン・アメリカ。やっぱりアイアンマンに認められたいスパイダーマン。大切な家族を守りたいスターロードなどなど。

その姿を矢継ぎ早につなぎ合わせて展開していくため、正直言えば駆け足すぎて物語の深みもクソもない。訴えかけたいメッセージ性ですら感じられないレベル。そもそもルッソ兄弟のキャップシリーズにあった社会性みたいなのがなくて、結構ガッカリ。うーん。
そして、群像劇が収束するのがサノスなのだから、そりゃそうだ。ここに関しては、続編でもあるアベンジャーズ4でヒーロー側が勝つことで感動させてくれると信じている。

兎にも角にも今回の物語自体、代償という言葉が重くのしかかってくる。たしかにこれまでもヒーローたちはぶち当たって来た節はあるけど、代償ってなかったのでは?犠牲について多く語ってきたけれど、ヒーローが払ってきた代償ってなんだ。そのツケがインフィニティ・ウォーの結末なのか。

■テーマが繋ぐ、アベンジャーズとガーディアンズ

それぞれのヒーローが持つ作風とか温度感って違っていてそれが音楽を上手く活用することで上手につなぎ合わされているなーと。『アベンジャーズ』のテーマが多くのシーンでモチーフとして使われているんだけど、音楽が流れるだけで一気に雰囲気が変わる。「あ、ガーディアンズが出てくる」「ああ、キャップ」「ティチャラー!」なんて気持ちに瞬時にさせてくれる。これが単純に音楽ってすげーな、と。

ルッソ兄弟の過去作『キャプテン・アメリカ』シリーズ2作はヘンリー・ジャックマンが担当だったこともあり、ちょっと残念な気持ちがあったけど、全然よかった。

それ以上に作品内で流れるアラン・シルベストリのスコアの数々は、物語に合わせて感情を突き動かしてくる。2012年の『アベンジャーズ』もだけど、マーベル作品に前々から参加しているからこそのなせる技かな。これまで多くの音楽家が紡いできたメロディをモチーフにこんなんアレンジしてくるなんて感動。本当にありがとう。
特にワンダとヴィジョン救出に現れるキャップ登場シーン、マジ最高。さらに集合するファルコンとブラック・ウィドウ。エイジ・オブ・ウルトロンの最後にいるニュー・アベンジャーズの面々ってところも熱い。

■新たな発見もあるけど、もう語がしんどくて

ヒーローたちが一同に介するおかげで、ドクター・ストレンジとスターロードやスパイダーマンみたいな組み合わせをはじめ、夢の共演がめっちゃある。
それに加えて、今まで見たことないスーツだったり、武器、技の数々を披露してくれるので、驚きの連続。
もちろん、水と油のような合わないコンビもいたりとユーモアにもちゃんと力を入れていて、笑わせてくれる箇所もちゃんとあった。

笑う、息を呑む、手に汗握る、ホッとする、笑う、驚く、みたいな感情の波がしきりに押し寄せてくる感じ。これのせいで本当に疲れる。初日朝に鑑賞して、観終わった後は頭痛がしてきて、「なんで2回連続でチケット取ったの、俺」と公開するほど。ちなみに2度目の鑑賞時はラスト1時間くらい尿意との戦いを強いられました。2時間30分自体見てればあっという間なのだけど、身体にはちゃんと時間が流れているようです。

■早く続編をみせてくれ

いつも通り、おまけまでちゃんとあるのだけど、エンドロールは風変わり。エンドクレジットの最初ってどの作品もその雰囲気を踏襲したアートなものになっていることが多いのに、今回は文字が並ぶだけ。これに衝撃を覚えた。からのタイトル。消えていく演出。
そして、最後まで我慢して登場するのはお久しぶりの2人組。その頃、地球ではみたいなのに、ちょっと安心したのも束の間、衝撃の展開。そして、映し出されるあのマーク。

早く続きを見せろ。と心の底から思う。2部作、ずるい。けれど、ちゃんとこの作品で一応終わりも迎えているのです。はじめ言ったようにサノスの物語としては。ヒーロー映画でここまでやってしまうのかと賛否両論な展開ではあるけど、私は好きだし。ちゃんとやってくれてよかった。だから、続きをはよ見せんかいと。

けれど、まずは夏に控える『アントマン&ワスプ』が楽しみ。ここに続編のヒントがあると信じている。直後に公開されるわけだし、自宅軟禁中だし、それにあの時空を超えられる量子の世界が重要なものになるでしょ、きっと。もはや何でもアリな世界観。アリだけに。だから楽しみ。

長くなったけど、アベンジャーズ全滅してません。

おわり

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