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[映画の感想]『未来のミライ』あれもこれも見応えたっぷり。でも、好きくないじゃないじゃない。

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[映画の感想]細田守監督、待望の最新作。『時をかける少女』や『サマーウォーズ』を手掛けた監督だけに毎回作品への期待値は大きいのかなーと思う。そんなこんなで楽しみにしていたわけです。思っていたのと違うというか、どこに向かっているのだろうか。過去から未来へ繋がる家族のお話。

未来のミライ

(C)2018 スタジオ地図

目次

未来のミライ

監督:細田守/2018年/日本/98分

劇場公開日:2018年07月20日劇場公開

映画川柳

くんちゃんは おばけと話す 男の子

ざっくり、あらすじ

未来から妹がきた。

くんちゃんは妹ができて、親からの愛情をみんな奪われる。うだうだしている彼の前に現れた謎の男の正体は……さらに未来からきたという妹まで現れる。過去と未来の家族と交流していく、くんちゃんの成長物語。

感想、思ったこと

これまでも少年少女の青春成長物語を”色々なカタチの家族”を通して描いてきた細田監督。そんなこんなで今回も同様に、少年くんちゃんの成長を過去から未来へと繋がる家族を通して描いていく。って書くとすごいいいお話みたいだよね。ポスターはすごく好き。好き。

見方を変えれば、いいんだろうなあ。けど、やっぱりエンタメをどこか期待してしまう。

■親の愛って大事だよね

よかったことを先に書いていくと、お母さん役の麻生久美子とばあば役の宮崎美子の安定感たるや、素敵。それに加えて、高木正勝氏の音楽も気持ちいい。旋律が本当美しい。ピアノをもっと出して欲しかったなー。といったところでお話の中身に話を移す。

ざっくり内容を振り返ると……突然、妹ができて親からの愛情を全部持っていかれたくんちゃん。だから、妹は嫌い。お母さんもお父さんも嫌い。お兄ちゃんになんてなりたくない、なれない。
心のどこかでは楽しみにしていた家族が増えることと妹への嫉妬は別腹問題で、これって兄弟がいる人なら誰もが経験していそう。
自分も姉ちゃんばっかり、と思うことはよくあった。けど、逆に言うと姉は「お前ばっかり」と思っていたに違いない。

これってどっかで観たなぁと思ったけど『ボス・ベイビー』だ。あれは鬱陶しいおっさん赤ちゃんだったけど、未来から妹が来るのは似たようなもんなのかも。

■思っていた方向とは斜め上をいく

と、まあ冒頭で判明するこの物語の帰着点。「くんちゃんがお兄ちゃんになること」、「家族って繋がってるんだ」ということ。さて、それをどうやって未来からきた妹と絡めて終わらせるのか、非常に楽しみになる。
『時をかける少女』といい、新海誠が2年前にブチ当てた『君の名は。』もそうだけど、タイムパラドクス系が大好物だから。

くんちゃんの感情に合わせて、庭の樫の樹が反応する。くんちゃんが生まれる前から家族のペットや未来の妹や過去の家族と交流していく……。それぞれのエピソードを通して、少しずつくんちゃんは成長して、いるみたい。
ただ、何がどうしてこうなるのか、説明がほぼなし。子どもが観ても楽しめそうなアニメ映画で、小難しい設定はいらないけれど、ちょっと不親切。クライマックスでチラッと話が出てくる。いや、これで誰が納得するんだ。というレベルでしかない。
キャラクターたちの行動や言動にも違和感を覚えることもあり、どこに連れて行かれるかと思ったら東京駅かよ。

戦慄。驚愕。ある意味で細田守総集編的なごちゃ混ぜミックス状態。あれもしたい、これもしたい、でもテーマはこれで、やっぱこっちも語りたい。最終的にはホラーかよ。怖い、怖いよ、もう。

■結局わからなくなったよね

しかも、やたらと喋るし。クライマックスで冒頭で見せた帰着点というか、作品のテーマに当たること。それをセリフで言わせるんかい。そうじゃなくて行動とかに昇華させて気付くっていう演出が欲しいんだよ。
『時をかける少女』の「未来で待ってる」だって、『サマーウォーズ』の「お願いします」っていう名セリフにある感動ってそういうことだったじゃん。忘れてしまったの、監督。
まあ行動はあったけど、エピソードがぶつ切りで繋がらなすぎて、揺さぶられない感情。この押し寄せる不満。

だったら、未来からきた妹が未来の家族の危機を避けるために過去のお兄ちゃんのところに来て協力するくらい、ベタで王道な、もうなんというかドラえもんみたいな物語展開にしていただいた方がまだ、その、わかりやすく家族の物語を紡げたのではと思ってしまう。

SFというか、電脳世界というかそういうの好きな感じが漂う描写も多く、「未来からきた妹大活躍!」みたいな話でいいじゃん。全然未来からきた妹が活かされないし、なんなの。

過去から未来へと繋がる家族の話を描こうとして、エピソードを詰め込んで、結果とっ散らかってしまった。そして、まとまめきれなくなった挙句、すべてをキャラクターに喋らせた。セリフの言葉選びはすごく好みなだけに、もったいないなーって。

■『君の名は。』のようなヒットにはならなそう。

比べるものでもないけれど『君の名は。』で熱狂した日本の観客にはもう誤魔化されないのではないか。もちろん、似たような話をしても意味はないのだけど。時代性も感じないし、どうしてこうなった、という気持ちしかない。要所、要所ではすごくイイお話になっていて、ラストのセリフなんて言葉選びが素敵すぎて、ここまでの駄目なところも目を瞑ろうかなって思うくらいだったけど、やっぱり思い出すと違った。
『時をかける少女』も『サマーウォーズ』も知ってるし、青春の映画だから、大好きな映画だから。どうしても細田監督のハードルって高くなってしまう。

虚淵のゴジラも何とも言えないし、スタジオジブリの勢いもないし。日本の特産物であるアニメ大丈夫かな、と思ってしまうくらい不安になる。

エヴァの特報見れたし、まあいっか。んー、こりゃあ、庵野監督も荷が重いだろうな。

おわり

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