[映画の感想]第2次世界大戦の沖縄でのエピソードを思っていた以上の衝撃映像で驚きました。腕ぽーん、脚ぽーん。アンドリュー・ガーフィールドを『沈黙』に続き苦しめることとなった日本。どうか嫌いにならないで欲しいものです。「救う」ただそれだけ。
ハクソー・リッジ
Hacksaw Ridge/監督:メル・ギブソン/2016年/アメリカ・オーストラリア/139分
劇場公開日:2017年06月24日劇場公開 公式サイト
映画川柳
救いたい 気持ちがあっても 動けない
ざっくり、あらすじ
僕にはこれしかない。
武器を持って、人を殺すことができないデズモンド(アンドリュー・ガーフィールド)。第2次世界大戦で沖縄に行き、難攻不落のハクソー・リッジで負傷した兵士を救うためだけに命を懸けた実話に基づく作品。
感想、思ったこと
実話ものに弱い私です。結果はわかるんだけど、いやーホントにドキドキさせられた。「もういいから」「危ないからやめて」と勝手に祈る、手に汗を握るクライマックス。それに加えて、残酷すぎる地獄映像。沖縄戦が舞台でもあるので、夏前に観れていいタイミングかなーとも。
■アンドリュー・ガーフィールドって本当優しい顔してる
『ソーシャル・ネットワーク』とか『アメイジング・スパイダーマン』シリーズが有名な彼ですが、優しい顔してる、本当。
だから今回の役柄は彼にしかできない役だったんじゃないかなーと思うほど。ヘタレになりすぎない勇敢な姿には胸がきゅーってなる。
「殺す」ことももちろん簡単なことじゃないけど、周りが全然同じ方向を向いていない中で「救う」ことに命を懸けるってのはたださえ難しいことをさらに難しくさせる。それでも、諦めない姿は涙もの。
最近は『沈黙-サイレンス-』で葛藤するシリアスな演技も観せてくれたけど、ハクソー・リッジの緊張感はまた違ったそれ。てか、どっちも日本かよ。なんかごめんなさいと言いたくなるような作品群。
それにしても沖縄で戦う日本兵の描写が、何だか少々複雑な気持ちになる。戦争なんて本当いいことないよ。
てかさ、サム・ワーシントン老けたよね。そういう役柄?久々に『アバター』観ようかな……。
■とにかく辛抱な前半戦
戦争シーンのお話をしておりましたが、この映画後半にならないとですね、いわゆる戦争にたどり着かない。なんかやたらとイチャイチャを見せつけられるのが前半戦。言い過ぎかも知れないけど、退屈すぎるくらい丁寧にデズモンドという男のキャラクターを描く。武器持てない信条の人に銃を持たせようとするのってある意味『沈黙-サイレンス-』みたいな感じ。「転び」だっけか。
そのドラマが後半の戦場での彼の行動に響いてくるため、その退屈にも意味があるわけなのですが、「戦争映画」という側面だけで観に行くと何かガッカリしそうだなと思うわけです。もちろん、主軸にあるのは「戦争」ではないからいいんだけど。観ればわかる、デズモンドという男の話。
そんな退屈な前半の穏やかさのおかげで、後半の戦争シーンが凄惨な地獄映像として脳に焼き付くのも効果的なのかも知れない。
それにしても、こんなに惨い描写しなくてもいいのにと思うくらい。そういうの得意な方だけどちょっとこれは目を逸したくなる感じ。多分、気持ちが前半の穏やかモードに引っ張られている状態で、腕ぽーん、脚ぽーんってなるもんだから、ねえ。しかも、内蔵はぶちまけられるし、やばい。ちょっと夢に出てきそう。
これだけだと、前半を耐えても後半しんどい映像が待ってる何かいいとこなくない?な感じ。
だけど、人を殺すだけが戦争ではない。なんか当たり前のことだけど、今までなかったなと。
映像もすごいんだけど、音もすごいので映画館で観て欲しい。
思った以上に卑劣な日本兵。辛い。目をそらさず。