[映画の感想]夏過ぎくらいからひたすら映画館で予告を観てきたので、ようやく観れたという感じ。全員主役級の俳優陣をこれでもかと揃えたミステリー大作。音楽がちょいと微妙だったけど、どうして殺人事件が起きたのか。絡み合う乗客の過去があぶり出す結末には驚かされた。それにしても豪華。なのになぁ。
オリエント急行殺人事件
Murder on the Orient Express/監督:ケネス・ブラナー/2017年/アメリカ/114分
劇場公開日:2017年12月8日劇場公開
映画川柳
俳優が 豪華でなくちゃ ありえない
ざっくり、あらすじ
この列車の中に、犯人がいます。
世界的な名探偵エルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)はオリエント急行に乗って移動中、列車内で起きた殺人事件に巻き込まれる。何も共通点のない乗客たちの過去が絡み合い、浮かび上がる犯人とは。善と悪の揺らぎを描いた作品。
感想、思ったこと
これだけの俳優陣を集めて、映画を撮るってなかなかありえないこと。ちょっとしたアベンジャーズみたいな感じ。けど、この映画はこうやってちゃんと演技ができて、いるだけで画になるような俳優が必要だった。間違いなく。ケネス・ブラナーは器用だなぁ。けど、何か違ったよ。
■ミステリーっていいよね。
ミステリーの女王とも呼ばれていたアガサ・クリスティが書いたものの中でも1位2位を争うくらい有名な原作オリエント急行の殺人を映画化。1974年にも映画化されていて、リメイク的な立ち位置。日本でも三谷幸喜がお正月特別ドラマみたいなので映像化してるんだけど、その時も俳優陣が豪華だった気がする。
そんなこんなで、急行列車の中で殺人事件が起きてしまう。たまたま乗り合わせていた名探偵が「犯人は誰か」と乗客の話を聞きながら推理する。群像劇的な要素も持ちながら、主人公ポアロの心情がチャーミングな長いおひげと一緒に描かれてた。しかも、ミステリーって地味になりがちだし、今回みたいな列車内で殺人が起きたとか、絵面ずっと変わらないのかと思いきや、そうならない仕掛けがあって、列車の上とか外とかまで動き回るアクションもあって、風景も美しいから映像的にもちゃんと楽しめる。今時は動きのある作品じゃないとダメなんかね。
そんな本作は、殺人があって、犯人を推理するっていうミステリーの構成の中に、善とか悪とかって一体何なんだろうねっていう深みがあるので、ただ犯人が誰かっていう部分だけじゃなく楽しめた。もちろん、犯人がわかった時の気持ちよさもあるけどね。よくできた話だと思う部分はあるけど、点と点が繋がって、線になっていく様はやっぱりこういう作品の醍醐味。
冒頭に、宗教を絡めた善と悪のエピソードがあるおかげで、信仰と神と正義とが入り混じって揺れ動く主人公ポアロを理解しやすかった。
■主役級俳優が集まった理由
ジョニー・デップ、ジュディ・デンチ、ミシェル・ファイファー、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォーなどなど、よくぞここまで主役級の俳優を集めたなぁって感じ。映画好きだとそれだけで観ようって思えちゃう。こんなベテランたちに加えて、バレエダンサーのセルゲイ・ポルーニンや旬のデイジー・リドリーまで使うあたりのバランス感覚。セルゲイ・ポルーニンがやたら妖艶すぎて、ちょっと集中できなかった。雰囲気ありすぎ。
けど、こうやって豪華俳優たち、言い換えると存在するだけで画になるくらい有名で実力派の俳優が集まったのにはちゃんと理由がある。きっと、列車内の地味になりがちな映像を少しでも華やかにするためでもあるとは思う。それと、乗客たちが演技をしているから。彼らは皆、名優でなければならなかった、と。なんていうどうでもいい解釈は置いといて、ここまで集める必要はきっとなかった。ちょっと無駄遣いかなって思うくらい、それ以外がチープな感じにも映ってしまっていた。
レオナルドダヴィンチの有名な絵画、最後の晩餐をモチーフにしたクライマックスの構図は面白かった。そして、そこからのポアロの決断。何を正しいこととするのか、相当難しい。そんな揺らぎをおひげと一緒に表現するケネス・ブラナー、やりおる。ひげすごい。
音楽の鳴らし方が違和感あったけど、全体的には気楽に楽しめるミステリー作品かな。冬はのんびり楽しめるこういうのいいかもね。
おわり。
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