[映画の感想]2016年の春に連続公開された『ちはやふる 上の句/下の句』から早いもので2年。同じ年月が作品の中でも経過しており、その成長に熱くなる。王道的展開であっても、青春の今を生きる、高校生をこんなにも眩しく描くなんて、恐るべし完結編。控えめに言っても素晴らしい作品。
ちはやふる 結び
監督:小泉徳宏/2018年/日本/128分
劇場公開日:2018年03月17日劇場公開
映画川柳
一人でも 仲間がいれば 強くなる
ざっくり、あらすじ
高校生活、最後の大会
千早(広瀬すず)がかるた部を作って、クイーンと戦い、早2年。かるた部のメンバーは皆受験を控えた3年生に。そんな中で新入部員を勧誘したり、大会に向けて練習したり、勉強したり。さらには、トラブル発生でどうなることやらな瑞沢かるた部を描いた作品。上の句、下の句に続く、三部作目にして完結編。
感想、思ったこと
その年の年間ベスト10に選ぶほど、前作『ちはやふる 上の句/下の句』を超えるというか上手く踏襲した上での完結編。お見事っていうなんというか、すげー。
今回もまた青春映画としてのきらめき全開で、笑わせ、泣かせ、揺さぶられる心。映像的にも競技かるたのみせ方にも幅をもたせ、シリーズを見てきた人にしっかり驚きを与えてくれる。すげー。
■個とチームを引き続き丁寧に
「ちはやふる」でずっとテーマとしているところに個とチームがあって、今作もその流れをしっかり描いてた。ここに安心感があるのだけど、今回は結びということで、一歩先に進む。
今までは千早と太一、新と詩暢の対比をしながら個を描きつつも、チームとしての強さをこれでもかと丁寧に描いてた。一歩先というのが、新がかるた部を作ること、千早たちに後輩ができることの2つ。ここにかるた、千早の成長が絡むという、何とも三部作のゴールとしてはできすぎなくらい、素晴らしい。うますぎる。
そして、太一の千早に対しての気持ち、新に対しての気持ち、さらにかるたへの気持ちがわかるので、もう後半からクライマックスは何見てんのかわからなくなるくらい、視界が滲みました。彼の成長は本当に大きいですな。
印象的なのが、最後の全国大会を描くシーンをテンポよく見せてくれるんだけど、ここで「敗者」を描いてて、「高校3年間をかるたに捧げた人たちの姿」ってのがあって。別にかるたじゃなくてもそうなんだけど、青春をかけて打ち込んだ物に対する熱い感情を揺さぶってくるわけ。俺にはそんなものないんだけど。帰宅部だから。けど、この時期になると何かと「最後の」みたいなあるじゃん。そういうのをふと思い出してしまって、うるうるしてた。これも最後に活きてくるのだから、侮れない。
■この2年でみんな成長したんだなぁ
広瀬すずも野村周平も新田真剣佑も、それぞれ色々な作品で活躍をして、またこうやって集結して、ありがとうございます。
今回は賀来賢人が名人を演じてたり、映画オリジナルの我妻伊織を演じた清原果耶とかみんなみんなキラキラまぶしかった。
伊織と新の掛け合いとかもう何なん。すごい息の合い方で、笑いを通り越して感心してしまう。
それに松岡茉優。クイーン。相変わらずダサさ残るクイーンを演じつつも、磨きのかかった目の力で語る彼女の凄まじさはここでも存分に発揮されていて、本当にすごい女優だわ。怖い。
とにかくそれぞれに見せ場があると言ってもいいくらい、ちゃんとイキイキとキャラクターが動き回る感じ。大好き。
■序盤の東京都大会のシーンで音の演出
今作は音楽も抜群によくて、シリーズのテーマを引き続きモチーフとして使っているものもあり、強めのビートで煽る音楽もよかった。
中でも、都大会のシーンでかるた部がトラブルところ。ここの音の演出が抜群によくて、どうか映画館で集中して観て欲しい、聞いて欲しい。謎に鳥肌が立ちました、ここ。
■まだあるか。かるたの見せ方
過去2作とも違う競技かるたの見せ方で楽しましてくれる映像にも本当にびっくり。もちろん、今まで通りのスローも効果的に使ってくるので、観ていて飽きない。
そして、カメラがよく動くんだ、これがまた。ドローンかなにかを使ってると思われる部分は、ちょっと画質が落ちているようにも感じたけれど、動きのある映像は楽しい。
とにかく、青春のきらめきをギュッと映像としてとらえているシーンの数々に涙せずにはいられないわけです。
■ちょっとおかわりしようかな
正直に言って、完結編で素晴らしい終わりと思うのだけど、終わってほしくない。それが本当のところ。もったいないよ。
それくらい、ちはやふるの映画が好きです。
上の句、下の句があっての完結編なので、こればっかりはぜひとも前2作を復習してから観て欲しいなぁーって思います。積み重なっていって、はじめてその成長に感動するのだと思う。
王道の青春物語。こんなにも熱くしてくれるとは思わなかった。もう一回映画館に行こうかな。
誰しもが通ってきた学生時代に思いを馳せることでしょう。
おわり
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