『ジャージー・ボーイズ』ずっと、歌で繋がっている。 ★★★★☆

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ジャージー・ボーイズ

Jersey Boys/監督:クリント・イーストウッド/2014年/アメリカ/134分

 

劇場公開日:2014年09月27日劇場公開 公式サイト

鑑賞日:2014年10月10日 TOHOシネマズ六本木 スクリーン2 にて

 

映画川柳

 

軽快な リズムに乗って 語られる

 

予告編

 

 

ざっくり、あらすじ

 

僕らのハーモニーは変わらない。

 

1960年代に一世を風靡した”ザ・フォー・シーズンズ”の盛衰と

名曲”君の瞳に恋してる”の誕生までを描いた作品。

 

感想、思ったこと

■これは、やられた。

撮るたびに名作が増えていくクリント・イーストウッド監督。彼がミュージカルを映画化したらどうなるんだろうと公開前から気になってはいましたが、ここまでとは……やられました。イーストウッド監督作の中で最も観やすい映画なんじゃないでしょうか。

 

田舎町でバンドをやっていたフランキーとトムとニック。その姿を軽快でコミカルに描くところから始まるんですが、そのおかげで楽しく作品に入って行けました。そこに作曲のできるボブが加入し、””ザ・フォー・シーズンズ”のオリジナルが出来るのです。その場面で4人が即興のハーモニーを披露するシーンがもう鳥肌もので、音楽の持つ力を見せつけられた気がします。

登場人物たちに要所、要所で状況を語らせながら展開して行くという演出も面白く、ぐっと引き込まれましたね。重すぎず、軽すぎず、絶妙なバランスで語られていくんです。

キャストも舞台版を経験している俳優たちを起用していたりと、安定した歌声と演技に安心感を覚えました。さすがイーストウッド監督と言わざるを得ないクオリティの高さに心地よさを通り越して、ずっと観ていたい、聴いていたいと素直に思いました。

 

これって音楽だけじゃないと思いますけど、音楽を生業にしていく人の苦悩が自然に伝わってきました。

 

■フランキー・ヴァリというボーカリスト

”ザ・フォー・シーズンズ”の名前は正直聞いたことありませんでした。作中で流れる楽曲には耳にしたことがあるものが何曲もあったので、「あ、これこの人たちの曲なんだ」と知れてよかったです。

中でも ”Can’t take my eyes off you”(邦題は”君の瞳に恋してる”)は誰もが一度は耳にしたことがあるんじゃないかなと思います。数多くのアーティストがカバーしていたりします。フランク・シナトラもカバーしてるんですよね。映画ではその誕生の裏にあった話を描いているので、それくらいフランキーにとって、ザ・フォー・シーズンズにとって重要な曲なんですよね。

 

”ザ・フォー・シーズンズ”の楽曲ではなく”フランキー・ヴァリ”のソロ名義の曲なんですよ。この曲を一人で歌う背景にある話を見せられた後に、あんなステージを見せられたら……もう、これ以上僕の耳をいじめないでください(笑) ジャズをベースにホーンセクション(管楽器)が際立ちつつも、ロックの要素も入った曲調というのも何だかフランキーのためって気がしました。でも、これの詩ってあのゲイプロデューサー、クルーが書いているから何とも普遍的なラブソングになっているのもいいですよね。「君から目が離せない」うん、うん。

ソロ名義の楽曲では”My eyes adored you”も良い曲でした。

 

そんな彼の高音部分、劇中では胸声を鍛えろだの、ファルセットが凄いだの言われてました。胸声はいわゆる地声で、ファルセットはいわゆる裏声ってくらいの認識でいいと思います。フランキー・ヴァリが出してるファルセットはホントにキレイでたまらんです。個人的に男のファルセットは不安定さが魅力でもあると思ったんですが、フランキーレベルで安定して出せるのもまた声質と相まっていいものですね。何だか、美空ひばりさんの低音に似た響きも持っていて、歌うために生まれて来たかのような人だなと思いました。劇中でも終始、歌だけは天才のように扱われてましたしね。

 

■エンドロールという反則技

音楽が素晴らしいということが言いたかったせいで、少し映画の話から離れてしまいました。元に戻って最後に映画のエンドロールの話をさせてください。

 

すっげーいい。

 

もう、この一言に尽きます。ああだ、こうだ言うよりも観て欲しいです。こんな反則的なエンドロールは今までに観たことがないくらい、いいです。楽しい。これだけ、Youtubeで公開されていますが、映画を通して観てみるからこその威力があるので、ぜひ劇場で観て欲しいなと思います。

 

パンフレットがレコード盤のジャケットのようなデザインなところも素敵です。

 

 

映画と音楽、こんなに上手く融合させられるクリント・イーストウッド監督に乾杯。

 

 

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