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[映画の感想]『すばらしき世界』西川美和監督は傑作だらけ 役所広司の演技は必見

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どうも、映画おバカ・manabu( @mnbspark )です。『ゆれる』、『ディア・ドクター』などを撮った西川美和監督の最新作。女性監督ならではの繊細さと丁寧な語り口が好きで、公開を楽しみにしていました。役所広司の演技も相まって、胸にがっつり響く良き作品でした。

脇を固めてる役者さんたちもよくて、最近よく見る仲野太賀、六角精児、北村有起哉などなど。長澤まさみが意外と見せ場がなくて残念でした。存在感はばっちり残していきますけどね。何よりも好きポイントはタイトルの出し方。鳥肌ですよ。すばらしき世界。

(C)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会
目次

すばらしき世界

基本情報

劇場公開日:2021年02月11日

日本/2021年/126分

監督:西川美和

音楽:林正樹

出演:役所広司/仲野太賀/六角精児/長澤まさみ/北村有起哉 ほか

あらすじ・解説

「ゆれる」「永い言い訳」の西川美和監督が役所広司と初タッグを組んだ人間ドラマ。これまですべてオリジナル脚本の映画を手がけたきた西川監督にとって初めて小説原案の作品となり、直木賞作家・佐木隆三が実在の人物をモデルにつづった小説「身分帳」を原案に、舞台を原作から約35年後の現代に置き換え、人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男の再出発の日々を描く。殺人を犯し13年の刑期を終えた三上は、目まぐるしく変化する社会からすっかり取り残され、保護司・庄司夫妻の助けを借りながら自立を目指していた。そんなある日、生き別れた母を探す三上に、テレビディレクターの男とプロデューサーの女が近づいてくる。彼らの真の目的は、社会に適応しようとあがく三上の姿を番組で面白おかしく紹介することだった。まっすぐ過ぎる性格であるが故にトラブルの絶えない三上だったが、彼の周囲にはその無垢な心に感化された人々が集まってくる。

映画.com より

鑑賞記録:2021年02月11日 グランドシネマサンシャイン スクリーン3

生きづらい社会、でも温かい人がいる

人を殺し、刑務所に服役していた三上(役所広司)が出所するところから話がはじまります。彼を待っているのは帰る場所や家族ではなく社会の厳しさ。三上がもともと反社会的勢力だったということもあり、世間は冷たいのです。生活保護を受けるのも、住む場所、仕事を探すのも一苦労。

三上自身、短気でちょっとしたことですぐカッとしてしまう。けど、正義感が強くて真っ直ぐで、曲がったことが嫌いなだけ。観ている間「そんなことしたら、また刑務所に戻っちゃうよ」とハラハラさせられます。

(C)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会

母を探して欲しいと三上から依頼を受け、取材することになった津乃田(仲野太賀)や近所のスーパーの松本(六角精児)などと出会って少しずつ、すこしずつ変わっていく様に不覚にも感動してしまいました。三上だけではなく、周りも変わっていくんですよね。特に津乃田いいです。

三上が出所して出てきた社会は冷たかったけど、彼が見ている世界は紛れもなく「すばらしき世界」で温かい人たちに囲まれているものなのです。

西川美和監督はどれも傑作なのでは

西川美和監督って『ゆれる』とか『ディア・ドクター』あたりが有名ですけど、『永い言い訳』とか『夢売るふたり』なんかも撮ってて、どれも人の心の変化がじわじわと響いてくる作品ばかり。このラインナップからも傑作ばっか撮る監督なわけです。間違いなく日本を代表する女性映画監督ですね。

人のいやらしい部分をちゃんと見せてくれる感じが好きです。決して、おとぎ話にせず、現実と結末を用意してくれる。気持ちよくはないんですけど、いいんですよね。

(C)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会

オリジナル脚本の作品ばかりだったので、今回は小説「身分帳」を原作にしているってのが不安要素でもありました。中身は知らないので全くもって比較はできないのですが、映画を観る限りはなんにも問題ありませんでした。三上を殺すこともなく、振り回されることもなく、作品の中で生かされてました。演技もあってのことだとは思います。

ここは、すばらしき世界なのか

主人公である三上の出生地が福岡であったり、反社会的勢力といえば北九州なイメージがあったりするので、福岡な感じが好きでした。スターフライヤーが出てくるとか、093という北九州エリアの市外局番だったり、住んでいたからなんか嬉しくなっちゃうんですよね。北九にいたのはもう5年も前ですが……。

やっぱり、引っ越したときはソワソワしました。偏見というかイメージというか先行するものがどうしてもあって、出会いたくないと思ってました。もちろん普通に生活してたら関わることなんてないんですけどね。

(C)佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会

映画内で描かれる社会の感覚ってまさしくそういうことで、自分にもちゃんとあって、相手を一人の人間として見ることを拒否しちゃう。だからといってそれがすぐ変わるのかというとそうでもなく。映画を観ながら、ラスト自分は誰かにとっての「すばらしき世界」であるのだろうかと大げさな話を考えていました。決して他人事ではなく、今にも通じるものだと思います。

あー焼肉食べたい。

おわり

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