メイド・イン・チャイナ
Made in China/監督:キム・ドンフ/2014年/韓国/100分
劇場公開日:未定
鑑賞日:2014年10月25日 【第27回東京国際映画祭】TOHOシネマズ六本木 スクリーン5 にて
映画川柳
本当に 安全なのか わからない
予告編
※日本語字幕はありません。
ざっくり、あらすじ
僕のウナギを再検査してください。
中国でウナギの養殖業を営む主人公チャンだが、水銀が出たことで輸出できなくなる。
決死の思いで韓国へ密入国し、再検査を求める作品。
感想、思ったこと
■偏見まみれのウナギ
第27回東京国際映画祭で最初に観た作品ですね。1本目からなかなか重めのテーマでした。食の安全をめぐるお話かと思いきや、もう少し広く偏見を取り扱っている作品でした。再検査を求める作品とあらすじで書きましたが、その先にもしっかりとお話がありますのでご安心ください。
中国産、中国製と聞くと「ああ、中国か」となる方も多いのかなと思います。中国で加工された食品での問題がニュースなどでも取り上げられることが多く、不安ではありますよね。自分も口にするものに関しては少し気を使って選ぶようにはしていますが、それでも価格などを考えると避けられないものでもあるのかなと思って諦めている部分はあります。そもそも、国産だからといって本当に安全なのかっていう疑問をこの映画では問いかけているようでした。中国産だから、韓国産だからという判断で自国のものに対する判断を誤らせている可能性はありなくないなと思い、そのあたりはとても面白いなと思いました。これってもっと身近な話で、東日本大震災があって、福島の原発の問題に繋がってくるなと思いました。
決して、ウナギだけの話ではありませんよ。他の食品に対してもそうだし、他の製品、何なら人に対してもそうなんじゃないかなと。
■I’m”Made in China”
主人公が自分を受け入れてくれた韓国人女性に対して自分は中国製だ、と迫る場面があるのです。その韓国人女性は中国のものを口にしないんですよ。でも、中国人である自分のことは受け入れる。そんな自分は中国のものを食べて生きてきたとアピールする訳ですよ。確かにそれって不思議な話だよなと思ってしまいました。日本では色々なところから輸入し、自国での食品自給率が低いので、日本人は純粋なMade in Japanとは言えないかもしれないですね。また、韓国に密入国して出稼ぎにくる朝鮮族の中国人という、韓国であまりいいイメージを持たれていない方々を描いているんですね。なので食べ物だけではなく、人に対する偏見がわかりやすく伝わってきました。だからといって説教臭いわけでもなかったです。
ただ、この主人公を受け入れる韓国人女性との関係がなかなか唐突に始まるので、気持ち的にはついていけませんでした。確かに、気持ちを動かすシーンはあるのですが、あまり納得はできなかったです。さりげなくソフトマッチョな肉体美を披露してくる主人公がイケメンなので、ただしイケメンに限るのかもしれないです。
ラストは観客に委ねるタイプなのですが、実際に現実に起きている可能性のある問題なので何かしらの結末を出さないというのはいいなと思いました。現実に続いているんだという意味合いを感じられました。
こういった社会問題を扱った作品はあまり受けがよくないという話を監督がされていましたが、身近な問題を考えるきっかけとして劇場公開されたらいいのになと思いました。
上映後、監督と脚本のキム・ギドクからサインを頂くことができました。こういった楽しみがあるのも映画祭ならではだなと思います。
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