アバウト・タイム ~愛おしい時間について~
About Time/監督:リチャード・カーティス/2013年/イギリス/124分
劇場公開日:2014年09月27日劇場公開 公式サイト
鑑賞日:2014年09月16日 【試写】一ツ橋ホール にて
* 映画川柳。
君といる この瞬間が 愛おしい
*予告編。
*ざっくり、あらすじ。
息子よ、お前はタイムトラベルができるぞ。
21歳になる年に父親からタイムトラベルが出来ることを告げられる。
その力を使って、人生をより良いものにしようと奮闘する作品。
*感想、思ったこと。
ラブストーリーであってラブストーリーじゃない。
「飛行機の中で観たけど、すごく良かった」という話や海外に住む友人が「観て!」と言っていたので、非常に気になる作品だったのですが、運良く試写で観ることができました。
名作『ラブ・アクチュアリー』を撮ったリチャード・カーティス監督の最新作です。毎年、クリスマスの時期になると観たくなる映画ですよね。大好きです。
今作も期待以上にいい作品でした。温かい。タイムトラベルものと聞くとSF作品なのかなと構えてしまいますが、そんなことは全くない愛に溢れているドラマです。 ポスターや予告編の印象ではラブストーリーのような感じもするんですが、自分はちょっと違うのかなと思いました。タイムトラベルということも、ラブストーリーということもテーマを伝えるための仕掛けみたいなものです。 じゃあ、何なんだよとなるのですが、一人の青年の成長のお話だな、と。
自分はラブストーリーだと思ってたんです。レイチェル・マクアダムスが可愛いラブストーリーで、彼女がてっきり事故にあって死ぬお話だと思ってました(安易) そういったラブストーリーではないのですが、ある意味ラブストーリーですね。 本当に胸を打たれました。
そんなラブストーリーをユーモラスに描いているので笑えるようなシーンももちろんあります。ただ、終盤の展開はずるい。ずるいです、あんなの。切ないなかった。あの表情にはそんな意味も含まれていたのか、と気付かされると切ない。 エンドロール中は、底知れない満足感と幸福感に浸ってました。
Ben Foldsの名曲”The Luckiest”
この映画の中で印象的に使われる楽曲が、ピアノロックで有名なBen Foldsの”The Luckiest”という曲。ラッキーの最上級ですね。
オールタイムベストアルバムにBen Foldsが3ピースバンドを組んでいた時代のアルバムを入れ、昨年2月には来日公演に行く程好きなBen Foldsです。そんな彼の楽曲がこんなにもハマった映画を見せられたら、もうそれだけでお腹がいっぱいです。 ちなみに、”The Luckiest”は2001年発表のソロファーストアルバム”Rockin’ The Suburbs”に収録されてます。ほとんどの楽器を自ら演奏していたり、他の曲も一曲目からオススメなので聴いてみてください。 映画内で使われる音楽はピアノの旋律が繰り返し、繰り返し使われていて、それにもタイムトラベルと掛けた意味合いがあるのかなと感じました。
Ben Foldsの曲以外にも使われている楽曲のセンスがいいです。心地よかった。 Nick Caveとか。
そんなBen Foldsですが、11月に来日公演があります。 オーケストラを従えてということなのも気になります。これは”The Luckiest”を生で聴くチャンスかも知れません。誰か行きませんか?
Ben Folds、来日決定(2014年11月) | ロック&クラブ・ウェブマガジン:iLOUD
幸せは身近なところにある。
タイムトラベルでセックスやり直したり、初恋の相手との会話やり直したり、 SF作品ではないので、地味な使い方です。しかも、過去にしか行けません。『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のトム・クルーズとは大違いですね。世界は救いません。自分の手の届く範囲をちょっと良くしようってするだけです。
ただ、そのタイムトラベルの設定が実に甘く何とも言えません。 と、気になることもあります。ラストとか。 そんなことも気にならないくらいラストは可愛いんですけどね。ラストもポイントですよね。
もっともSF作品ではないので、タイムトラベルがどうのこうのと言うのは野暮ってもんですね。
生きていればやり直したいことはいくらでもあると思います。 当たり前ですが、映画のようにタイムトラベルなんて出来ないです。やり直しなしの一発勝負です。でも、よく考えて見れば、失敗したと思う選択の先で今があるんですよね。それをくよくよ思い悩むのであれば、別の視点で何か次を考えてみたり、進むしかない時間の中でいかにこの一瞬を楽しむか考えた方がきっと人生って幸せに過ごせるんだろうなと思います。
お金持ちになるとかハリウッドスターに会うとか大きな夢も大事ですけど、当たり前で気付かないことにふと目を向けるきっかけになるかと思います。 「人生楽しんだもん勝ち」と小学生の時に教えられたのを思い出しました。
この映画を観たら、きっと大切な人を思うと思います。そして、今よりも、もっと大切にしようと思うんじゃないでしょうか。
愛に溢れた、人生をちょっと温かくする優しい映像と心地よい音楽の映画。オススメです。