[映画の感想]第2次世界大戦時中に出会った男女の悲しい運命をこれでもかっていうくらい優等生な描写で魅せてくれる濃厚な作品でした。主演のマリオン・コティヤールなくして成立しなかったんじゃないかと思うほど彼女は素晴らしかったです。
マリアンヌ
Allied/監督:ロバート・ゼメキス/2016年/アメリカ/124分
劇場公開日:2017年02月10日劇場公開PG12 公式サイト
映画川柳
愛してる だから知りたい 君のこと
ざっくり、あらすじ
君の妻はスパイだろ。
第2次世界大戦中に偶然任務を通して出会ったマックス(ブラッド・ピット)とマリアンヌ(マリオン・コティヤール)はそのまま恋に落ちる。そんな愛し合う二人を試すかのようにマリアンヌにスパイ容疑がかけられる。疑惑の中で確かめる二人の愛の物語。
感想、思ったこと
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ザ・ウォーク』などのロバート・ゼメキス監督の最新作ということで期待していた人も多いのかなーと思いますが、わたしはそのことを映画を観る直前まで知りませんでした。最近、映画を観る前の事前情報をほとんど仕入れていないということとすぐに忘れてしまうのがよくないですね。
おかげで、前評判とか気にせずに観れたし、すっごい優等生な映画観れて普通に満足しております。
第89回アカデミー賞の衣装デザインにノミネートされてるのも納得の時代を感じさせるスタイルにも注目して欲しいですね。
■優等生すぎて、逆につまんない
ロバート・ゼメキス監督ってだいたい外さないというか真面目なんですよね、ほとんどが。そのせいでつまらないなって思ってしまう作品も中にはあるんですよね。もちろん、面白いには個人差があるから「真面目こそ面白い」って人もいて、それは全然理解できます。
この作品ももちろん真面目で、すっごく丁寧な物語だなって観ていて終始感じるんですよ。だから、何か段々と退屈になってしまうんですよね。
緊迫したスパイものとしても魅力はたくさんあるのに、どうしてかキレイにまとまりすぎているというか何というか。もう少し遊びが欲しいなーって思ってしまうんです。もちろん、プロが作る作品に失敗とかはあるわけないんですけど、きっちりやられると入る余地がなくてブラピの愛する人を疑う気持ちにもマリオン・コティヤールの複雑な感情にもついていけないなーと。
音楽にしても、丁寧すぎるくらいの映像にしてもどれも合格点を超えて来るから悪いことは言われないと思います。ただ、そこが欠点みたいな。何かそういう映画でした。
■マリオン・コティヤールがやばい
久しぶりに観たブラピは時の流れに逆らえなかったのか、私生活での疲れが出ているのか知らないんだけど、すっげーくたびれたおじさんになっていました。『悪の法則』のちょっとイケてるおじさん感がどっかにいってしまったので、戦時中のキャラクターとしてはぴったりなんじゃないかなって思います。
そして、妻・マリアンヌを疑いながらも信じたいという気持ちの高まり、焦り、とかを静かに体現していたのも個人的には好印象なんですけど、そうさせたのってマリオン・コティヤールのおかげなんだろうなって思うわけです。
彼女って夫を悩ませる妻役がハマっているというか、ファム・ファタールがよく似合うわけです。男を狂わせる色気しかない感じ。『インセプション』とか『ダークナイト・ライジング』とかもそうですよね。今回も諜報員っていう役柄と相まって、すごく魅惑的に見えました。いやーいやらしい。特にブラピを見つめる、どこか物哀しそうな表情はたまらないですね。
多分、マリオン・コティヤールじゃなきゃできなかった役なんじゃないかなって。レア・セドゥとかも似たような色気を持ってると勝手に思ってるんですけど、まだまだ若くて(とはいえ僕よりも年上)まだ熟していない感じがあるんですよね。あ、どっちもフランスの女優さんだ。フランス人ってあるのかな、そういう魅力が。というわけでね、ボンドガールとか似合うよね、きっと。
とにもかくにも、彼女なくしてこの『マリアンヌ』は成立しないと思いましたっ!そして、彼女抜きに語ることはできません。カーセックスシーンはもうそれだけで別の記事書けるくらいに素晴らしい。もちろん、そんなに書けないけど。好きだ。
そう、個人的にお気に入りのシーンは、その砂嵐の中で二人が結ばれる美しすぎるカーセックスとクライマックスの雨の中のアレ。カット割りがすごく好き。あれはニヤニヤする映像。うん。
愛する人が嘘をついているとして、疑う自分も嫌ですけど、それが真実でもそうじゃないとしても疑われてる側も相当苦しいよなーって。愛は一人じゃ育めないです。
あーだ、こーだ言ってますが、普通に優秀な作品なので、無難に楽しめます。