[映画の感想]『はじまりのうた』音楽は誰かを救えるか。 A+

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はじまりのうた

Begin Again/監督:ジョン・カーニー/2013年/アメリカ/103分

 

劇場公開日:2015年02月07日劇場公開 公式サイト

鑑賞日:2015年02月24日 新宿ピカデリー スクリーン6 にて

 

映画川柳

 

いつだって きっかけはそう 音楽だ

 

予告編

 

 

ざっくり、あらすじ

 

ニューヨークの街角で奏でた、きっかけの音楽。

 

グレタ(キーラ・ナイトレイ)は恋人デイヴ(アダム・レヴィーン)と色々あって沈む中、バーで歌う。

それを聴いたダン(マーク・ラファロ)が一緒に音楽を作ろうと持ちかけてはじまる物語。

 

感想、思ったこと

■『ONCE ダブリンの街角で』よりもキャッチー。

いやー最高でした。何がと言われると上手く言葉にできませんが、最高。

ラストもニヤつける好きな終わり方をするんですよねー。もう、本当いい(笑)

 

今作はあの音楽映画の名作『ONCE ダブリンの街角で』を撮ったジョン・カーニー監督作品ということあって、音楽に対する愛に溢れた作品になっていました。音楽もすごくよかったです。残念ながら受賞とはなりませんでしたが、本年度アカデミー賞で歌曲賞にノミネートされているのも頷けるパワーを持っています。「Lost Stars」という曲は劇中で何度もアレンジを変えながら流れる曲で、自然と入ってくるメロディは心地良さの極みですね。

 

今作のポイントの音楽は実際にグレタ役であるキーラ・ナイトレイ(美しい)が歌っているのですが、それがいい声してるんですよ。ここでプロの歌手を起用せずに役者に歌わせているというのが上手くなりすぎることを防いでいてよかったですね。これが歌唱力が半端ない人が歌っていたら全然響いて来なかったんだろうなと思うほどです。キーラ・ナイトレイの抑えられた歌声が本当によく似合うんです。

そして、彼氏役に本物の歌手を起用して売れっ子になるという設定がまた巧いなと思いました。デイヴ役のアダム・レヴィーンは洋楽好きな人ならほとんどの人が知っているであろうMaroon5のボーカルです。なので、キーラ・ナイトレイの歌との差がはっきりとわかるんですよね。これがプロとアマの差だよっていうのを感じさせる。でも、キーラ・ナイトレイの歌声には何かある、そう思わせる感じとかがたまらなかったです。アダム・レヴィーンが歌えば、もう全部Maroon5の曲に聞こえるマジック。あの気持ちいい高音ももちろん堪能できます。

 

この作品は多分、歌を生で録音をしているんじゃないかなと思うんですけど、それがライブ感を生んでいて興奮しました。お気に入りというか、鳥肌が立ちすぎて涙が出たのが、「Coming Up Roses」を録音するシーン。ここの子供達のコーラスにもう我慢できなくなりましたね。マイクにポップノイズを防ぐためのポップガードとして、ストッキング使っている(実際にやる)のも本当に手作り感のあるレコーディングって感じがして、アマチュアミュージシャンに夢と希望を与えるんじゃないでしょうか。もちろん、実際にあんなことやってたら怒られるでしょうけど。

ダンにだけアレンジが聴こえるというバーのシーンもいいですね。ここでドラムが入って、ピアノが……とかもう音楽をやっている身としては大好きな妄想ですもん。いい!ちなみに「Like A Fool」が可愛い曲なので好きですね。

 

全体を通して感じたのが『ONCE ダブリンの街角で』よりもキャッチーな楽曲が多いなという印象です。『ONCE ダブリンの街角で』がアイリッシュ音楽(フォークに近い?)だったのに対して、ニューヨークが舞台でポップスを扱っているという部分も大きいのだろうなとは思いますが、楽曲だけでサントラを聴くのであれば、こちらの方が聴きやすいと思います。ストーリーは『ONCE ダブリンの街角で』の方が好きでした。

 

■音楽に救われること。

この作品で描かれている人たちが音楽で繋がっているのが見ていて楽しかったです。中心はもちろんグレタと誰か、なんですけど。ダンと娘のバイオレットの関係なんかもいい感じでした。何よりも驚いたのはバイオレット役の子が『トゥルー・グリット』で主演をしていたヘイリー・スタインフェルドということ。大きくなっちゃって、ね。最近『エンダーのゲーム』でも見かけていたので、「あれ?!どっかで見た!」って一人でなっていました。

そして、自分自身音楽を少しかじっている人間として見ていたので、演奏シーンの数々はどれも本当に楽しそうで、こちらの体も動かしたくなるような勢い。本当に音楽の力って信じてみたいなと思う内容で、世界中の人の心を動かすことは無理でも、自分の隣にいる人、身近な人から始めて見れば上手くいくことってたくさんあるのかなと思います。今の時代、どんなことでも決まりきったレールの上を進んでいく必要はないのだと気付かせても貰えました。

この映画の音楽で少なくとも自分は救われました。この前に『フォックスキャッチャー』を観ていたので、その陰鬱な気持ちがね(笑) もちろん、マーク・ラファロすげーともなってましたけど。

 

公開館数が非常に少ないのが残念ですが、できれば映画館の大きなスクリーンと音響設備で一緒にきっかけの音楽を奏でて欲しいです。

 

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