フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ
Fifty Shades of Grey/監督:サム・テイラー・ジョンソン/2015年/アメリカ/126分
劇場公開日:2015年02月13日劇場公開(R15+) 公式サイト
鑑賞日:2015年02月14日 TOHOシネマズ船橋 スクリーン3 にて
映画川柳
変態と まっくろくろすけ 出ておいで
予告編
ざっくり、あらすじ
変態イケメン実業家、現る。
大企業の若きCEOであるクリスチャン・グレイ(ジェイミー・ドーナン)の元へインタビューをしにいくことになったアナ・スティール(ダコタ・ジョンソン)
二人は惹かれあっていくものの、このイケメンがとんでもない性癖を隠し持っていた。まっくろくろすけな作品。
感想、思ったこと
■ただし、イケメンに限る。
色々な意味で面白い作品になっていました。個人的にはストーリーが退屈だったんですけどね。
イケメンで実業家なのに、変態だったら……。これは「ただし、イケメンに限る」も許されないのでは、と思ってしまうほど、刺激的な内容になっています。女性の妄想が爆発したような作品でこんなことあったら嬉しいのかな、とも思いつつ。こんな妄想していたら恋愛できないよなーなんて(余計な御世話ですね)
そして、この映画終わり方は好きですが、完全に続編を意識したぶつ切りで終わります。原作小説が三部作になっていることを考えると、映画もそういう路線なのでしょうか。音楽を担当しているのが、ティム・バートン監督作品でお馴染みのダニー・エルフマンで影のある音楽は見事にマッチしていました。使用されている楽曲も現代劇に合うセンスのいい選曲で個人的にはツボでした。ビジュアル面は本当に美男美女を揃えていて、これは今年の目の保養映画として文句はないかなと思います。あ、いや、文句あります。
イケメン実業家グレイを演じるのはジェイミー・ドーナンという数々のブランドでモデルをこなしてきた、ジェイミー・ドーナン。2014年最も美しい顔(イケメン)の1位に選ばれるなど話題の方です。モデル出身というだけあって、鍛えられた肉体美はよかったです。冒頭の見せ方がかなり好みで、なかなか顔を見せないんですよ。アナと出会うまで、後ろ姿っていうのがいいです。シャツを着る時の背中はセクシーですね。あんな背中になりたいものです。そんなイケメンも自分の中身と向き合い、微妙な表情の変化を見せるのです。コロコロと変わる心変わりの様は多重人格者のようで、タイトルと繋がりがあるように思います。このイケメンの過去には何があったんでしょうか。ただ、このイケメンがズボンのチャックを下ろすと、そこにいるのは、そう、まっくろくろすけ。
そして、ウブな女子大生アナを演じているダコタ・ジョンソン。これがまた可愛い上に、見事な曲線美で、もうたまらない。内容が内容だけにいっぱい脱いでくれますしね、なんなんですか、この映画。グレイに惹かれていく繊細な表情の演技が見ていて、何とも言えない気持ちにさせてくるんですよね。でも、彼女の下半身にもやっぱりアイツが潜んでいるんですよね。まっくろくろすけ。いい加減にして欲しい。
※以下、多少ネタバレが含まれます。何も知らずに観たい方は読まない方がいいかもしれません。
■まっくろくろすけ問題。
さっきから、まっくろくろすけって何?と思われている方がいると思うんですが、ずばりモザイクです。
この作品R15+に指定されていて、まあそういう描写があるラブストーリーなんだろっていうような認識でいる方もいると思うんですが、その内容はちょっと刺激的です。予告編を見てもわかると思うんですけど、何やら色々な道具が出てきてますよね。いわゆるSMというヤツです。
そして、そんなセックスシーンの描写を年齢制限をなるべく緩和し、多くの人に見てもらえるようにするために取られた対応が今回の”まっくろくろすけモザイク”という訳なんです。
普段から洋画では突然のセックス!が描かれることがあって、家族と見ていると気まずい思いをしたりしなかったりがあるんですが、だいたい薄いモザイクが掛けられていますよね。性描写が過激なものなどになるとそのモザイクを濃くしたり、大きくしたり、あまりに問題があると判断されればカットされてしまうこともある程でその表現の自由については色々言われたりしますよね。
今作では、SMを好む変態イケメンと可愛い女子大生の恋愛という話(元々はそういう官能小説)なので、誰がなんと言おうとそのシーンは必要不可欠なんですよ。カットはできない。でも、多くの人に観てもらいたい……高校生に見せる必要はないんじゃないかとは思うのですが、そういうことになっていると思うんです。普通の薄いモザイクではなく、あえて黒のベタ塗りのモザイクを使用しているのは、もうギャグでしかないんですよね。正直。大減点です。エロいの好きなのに!台無しだよ!笑
序盤は画面が暗いこともあり、半分近くを黒いモザイクが覆っていても気にはなるけど、別にいいかなと思う程度でした。「あ、画面右半分で黒い影が動いている」みたいな感覚です(どんな感覚だよ)。ただ、その描写が過激になっていく中盤から終盤にかけては、画面が明るいんですよね。明るいSMプレイルームで変態がムチを打つようなシーンになると、その黒さは気になるを超えてギャグと化すんですよ。画面中央に浮かぶ大きなまっくろくろすけに変態が入っていき、そこから手が生えるという謎の光景。待て、せめてイケメンの顔を見せろ……それはそれでギャグすぎるか。そんなシーンに思わず笑ってしまい、隣で見ていた女性二人組に上映後冷たい視線で見られるという。
チャック下ろして、まっくろくろすけドーン!
ベットの上で足の間にまっくろくろすけドーン!
二人の間で揺れるまっくろくろすけ!
そんなんばっか見せられて笑うなという方が酷なものです。
数年前にデヴィット・フィンチャー監督作品『ドラゴン・タトゥーの女』でもそのモザイクが話題になりました。あの時はモザイクの色や濃さというよりは大きさではありましたが、18禁ver.を限定公開するなどして対応していました。今作もそういったレイトショーなどがあれば大人は喜ぶかも知れないです。自分はちょっと海外でモザイクの掛かっていないものが観れるのであれば、ちょっと確認してきたいなとは思います。多分、まっくろくろすけにする必要性はないんじゃないかと思います。時折薄い普通のモザイクも混ざっていたので、その加減がわからないのですが、極端すぎます。やっつけ仕事ならなおさら残念です。
なぜか、まっくろくろすけことモザイクに対して無駄に語ってしまいましたが、ビジュアル的には本当に魅せられるものがあるので一見の価値はあると思いますが、笑わないように気を付けてください。
それから、高校生くらいの若いカップルがデートで観ていたみたいなのですが、上映後なんとも言えない素敵な空気になっていたので、デートで見る場合は少し考えたほうがいいかもしれないです。「叩いてもいい?」「いいわけないでしょ。最低!」ってなるかも知れないので、そのあたりは覚悟の上、フィフティ・シェイズごっこしてください。
[2016年1月31日追記]
WOWOWにてR15+指定版の放映があったので、久々にまっくろくろすけを楽しもうじゃないかと鑑賞したのですが、彼らは現れませんでした。
販売中のDVDやBlu-rayにもまっくろくろすけは現れない模様です。
この記事のまっくろくろすけは劇場公開時のみのレアな映像となってしまったようです。悲しい。
そういえば、『パシフィック・リム』でストライカー・エウレカに乗っていた、パパハンセン(マックス・マーティーニ)が出てました。それから歌手のリタ・オラもちょこっと出てて、楽しかったです。
今作のパンフレットは映画の内容に合わせて、契約書仕様になっていて面白いです。
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