どうも、映画おバカ・manabu( @mnbspark )です。公開直後から色々と話題になっている本作ですが、2021年早々に邦画の年間ベスト級作品が出てきたなーと思っています。ツボに入りすぎて、他人事ではないのです。恋愛はいつか枯れていくもの。決して自分のことじゃないけれど、知ってる気がするお話。
『最高の離婚』、『カルテット』などヒットドラマを書いた坂元裕二のオリジナル脚本。特有のセリフ回しはもちろん、登場するポップカルチャーの数々が絶妙でたまらんです。土井裕泰監督も最近『罪の声』を撮ったばかりでいい感じの作品だったので、安心感のある組み合わせ。
花束みたいな恋をした
劇場公開日:2021年01月29日
日本/2021年/124分
監督:土井裕泰
音楽:大友良英
出演:菅田将暉/有村架純/清原果耶/細田佳央太/福山翔大 ほか
あらすじ・解説
「東京ラブストーリー」「最高の離婚」「カルテット」など数々のヒットドラマを手がけてきた坂元裕二のオリジナル脚本を菅田将暉と有村架純の主演で映画化。坂元脚本のドラマ「カルテット」の演出も手がけた、「罪の声」「映画 ビリギャル」の土井裕泰監督のメガホンにより、偶然な出会いからはじまった恋の5年間の行方が描かれる。東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った大学生の山音麦と八谷絹。好きな音楽や映画がほとんど同じだったことから、恋に落ちた麦と絹は、大学卒業後フリーターをしながら同棲をスタートさせる。日常でどんなことが起こっても、日々の現状維持を目標に2人は就職活動を続けるが……。
映画.com より
東京・京王線の明大前駅。八谷絹は終電を逃してしまい、肩を落としてガッカリした。顔を上げたとき、ふと一人の男性と視線が交わった。男性の名は山音麦。何かが始まりそうな予感がして、ドキリと胸が高鳴った。八谷と山音は言葉を交わし、夜道を一緒に歩いた。
八谷と山音は一緒に出掛けるようになり、次第に親しくなっていった。お互いに好意を持っていたため、付き合うまでに時間はかからなかった。交際を始めた二人は手を握り、キスをして関係を深めていった。
MIHOシネマ より
鑑賞記録:2021年01月31日 TOHOシネマズ 池袋 スクリーン5
菅田将暉と有村架純ってのがいいよね
この映画、とあるカップルが出会って別れるまでの様子をただ描いているだけなんですよ。別に事件が起きるわけでもないし、2人の間に大きな障壁が立ちはだかるわけでもないんです。簡単にいえば、ありふれた普遍的な恋愛を表現するために菅田将暉と有村架純を使った映画。
もちろん美男美女カップルです。けど、芋っぽさも出せる俳優なんです、2人とも。失礼な言い方をすれば、そこらへんにいそうな雰囲気を出せるんです。才能。他の俳優陣も色々な人がいるんだけど、全体的に薄め。でなければ、隣にいそうな何だか知っている気がする恋愛は表現できてなかったと思うんです。キラキラした人たちじゃ駄目なんですよ。キャスティングから映画が成功してる。
個人的には今最も推している福山翔大、清原果耶が出演していることを全力で知ってもらいたい。にしても、菅田将暉は改めていい俳優ですね。
ポップカルチャーはあくまでも仕掛けのひとつ
正直にいうと、天竺鼠もAwesome City Clubも「ゴールデンカムイ」も「宝石の国」(途中まで読んだし、持ってるけど)も今村夏子も穂村弘も通ってないんです。けど、このラブストーリーを知ってる気がする。共感できるんです。ポップカルチャーの中身、感じ方や共感で繋がっているわけじゃないから。ポップカルチャーって2人を繋ぐ仕掛けでしかなくて、中身はなんでもいいんです。
「(わたしが好きな)今村夏子を読んでる麦くん」、「(ぼくの好きな)宝石の国を一緒に読める絹ちゃん」。相手に自分を投影して認めてる感じ。マニアックな世界で生きていたいと思う感じ。”あの作品のここがいいよね”で繋がってるんじゃなく、”同じポップカルチャーが好きな人に出会えた。一緒に楽しめる”。運命なんですよ。知ってます、こういうの。なにかのファンがSNSでクラスター、コミュニティを形成するのと一緒かも知れないです。
登場するものが全部サブカルだとは思わないんだけど、どこかメジャーどころを否定している感じがあって(ワンオクとかセカオワとか、あとパズドラ)。別になんでもいいんだけど、悪口で盛り上がれるのと同じで「わかる、わかる」を作りたいんだよね、きっと。
どういうところが好きなのか、まで話ができた方がもっと深く繋がれると思うんだけど、きっと2人には深みがないような気もします。まあいっか。そこまでやっちゃうと、観ている方は共感できないかもしれないね。”わたしたちって特別”って思うにはありふれた話で勘違いしていた記憶を呼び起こさせる方がいいんだろうなあ。
笑いあり、涙ありのラブストーリー
序盤はルンルン気分で観れます。2人の出会い時にある会話とかツボです。結構マニアックな『ショーシャンクの空に』とか実写版『魔女の宅急便』からの実写版映画に対するセリフ。笑いながら観ていました。が、次第に2人の恋愛は華やかさを失っていくわけで、クライマックスとかはもう胸が痛いんです。
わたしたちは運命だったのか、運命じゃなかったのか。それぞれ感じていることが違う。まざまざと現実を見せつけられる感じ。でも、やっぱり運命だったんじゃないかなって思っちゃうけどね、ラスト。くぅ。
別にこんな恋愛したことなくていいんです。今、隣に大切な人がいなくてもいいんです。運命的な出会いを夢見たことがあるなら、きっとわかると思います。花束みたいな恋をしたいわけじゃないけど、恋愛っていいものであって欲しいものです。
とりとめもなく書いてしまったけど、この映画が好きです。響く世代なのだと思う。
おわり