[映画の感想]大人気スリラー映画『ソウ』シリーズの最新作。7作目で一旦終了となってから7年の時を経て、再始動とも取れる今回のレガシー。過去作の思い出がてんこ盛りになりつつ、1作目を踏襲しているような衝撃の展開。これこそ映画がなせる技。ずるい、騙された。
ジグソウ ソウ・レガシー
JIGSAW/監督:マイケル&ピーター・スピエリッグ/2017年/アメリカ/92分
劇場公開日:2017年11月10日劇場公開 R15+
映画川柳
やっぱりさ ソウといえば これだよね
ざっくり、あらすじ
死のゲーム、再び。
密室で死のゲームに参加させられる5人の男女ととある事件を調べる刑事と死体検視官。ゲームの中と外で進む物語に、ちらつく死んだはずの男・ジグソウことジョン・クレイマーの影。一体、誰が何のために死のゲームを仕掛けたのか、衝撃の展開をする作品。
感想、思ったこと
久しぶりに『ソウ』シリーズが映画館で観れて、興奮。毎年のようにハロウィンシーズンに新作が公開されていたスリラーシリーズで、7作目『ソウ ザ・ファイナル3D』で一旦終了していた。ようやく再始動。1作目の衝撃には敵わないものの、過去作への想いを感じる良作だった。
■ジグソウが仕掛けるゲームは生き残れる
「どうして、自分がゲームを」っていう気持ちでみんな命を落としていくのだけど、基本的にジグソウが仕掛けるゲームには勝つ方法が用意されている。それなのに、みんな人を蹴落として生き残ろうとして、結果死ぬ。観ている側はそんなドキドキを楽しむ。
ってのが『ソウ』シリーズの最初の方だった。1作目の衝撃を超えることは一度もなく。しかもシリーズが進み、ジグソウの仕掛けるゲームに殺人性しか感じられなくなると途端に面白くなくなる。だから、7作目は「今まで観てきたし、観るか」みたいな気持ちでみてガッカリした。
何かグロければいいじゃん、みたいな展開がホントに嫌だった。グロいのは好きなんだけどね、内蔵出たり、血がびゃーってなったりするのは好きだよ。楽しいよね。けど、何かそうじゃないんだよ、『ソウ』に期待してることって!!みたいな気持ち。どんな気持ちやねん。
ちなみに今回はグロさはほぼない。いい!その代わりにまあまあ痛い。痛いの観ると、口が開くのはわたしだけでしょうか。
そんなこんなで、今回のレガシーはちゃんと生き残れるゲームだっていうのがわかる作りになってた。だから、一緒にドキドキしながら観れた。これだよ、これ。ジグソウはこうじゃなくっちゃ。しかも、この感覚が見事にクライマックスの展開に利用される。そりゃ騙されるわ。
ソウが好きな人ほど、興奮して、騙される。そんな作りになってる。もちろん、初めてシリーズを観る人でも楽しめると思うけど、ジグソウって人が誰かわからなくて、きっと困ると思う。7作すべて観るか、せめて1作目だけ観てから映画館にゴーして欲しい。
■思い出がいっぱい詰まっている
『ソウ』といえば数々の殺人マシン。今作でも色々と出てくるんだけど、そのどれもが過去作への愛を感じる作りになっている。というかオマージュのような感じ。これ、あえてやってるんだと思うんだけど、オチから考えるとそう見えるのは当たり前でもあって、負けた感じ。
まず、5人の男女が鎖に繋がれてスタートするのは『ソウ5』。建物の中を脱出しようとする様は『ソウ2』だし、上から延々と降ってくるのは『ソウ3』のアレに似た構図。クライマックスの舞台は何だか『ソウ』のようだし、最後に用意されてるゲームの装置は『ソウ3』のっぽい。けど、どれも今までよりも残虐性が低い。それもそのはず。グロさを含めて、ちょっと優しい感じがある。全部ちゃんと最後に効いてくる。
この最初から最後まで散りばめられたパズルのピースが過去作と繋がりながら、最後にひとつとなる時、「そういうことだったのか」とまんまと騙される。『ソウ』1作目ばりのどんでん返しを食らう。もちろん、あの衝撃ほどではないのだけど、そのどんでん返しさえもちょっと1作目っぽい。やってることは、正直ずるいんだけど、何かそういう作りにただただ興奮。
こういう展開で見せられるのって映画ならではなんじゃないかなーって改めて思う。謎解き要素を強めて、話を進めていく見せ方が上手。これが監督と脚本家の手腕なのか。たしかに『プリデスティネーション』も面白かった。
再始動であれば、またシリーズを観ていきたい。ありがとう。
おわり。
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