[映画の感想]大ヒットを飛ばした前作『フォースの覚醒』から早いもので2年。ついに公開された『最後のジェダイ』。公開日には惜しくも観ることができなかったけど、IMAXでバッチリ鑑賞。「衝撃のスター・ウォーズ」というコピーに嘘偽りのない展開が次から次へと続くから、もう疲れました。シリーズのお約束すら断ち切った、今までとは違う作品に感じつつも、繋がりをしっかり意識した物語だった。
スター・ウォーズ 最後のジェダイ
Star Wars: The Last Jedi/監督:ライアン・ジョンソン/2017年/アメリカ/152分
劇場公開日:2017年12月15日劇場公開
映画川柳
今までのお約束すら断ち切るか
ざっくり、あらすじ
最後のジェダイとは。
前作『フォースの覚醒』から間もない銀河で、ファースト・オーダーとレジスタンスの攻防は続いていて、窮地に追い込まれるレイア・オーガナ将軍(キャリー・フィッシャー)。一方、レイ(デイジー・リドリー)は、行方をくらましていた伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)の居場所を突き止め教えを請うが、ルークおじいちゃんの心はなかなか開かず苦労することに。そんな感じでみんな頑張ります。
感想、思ったこと
スター・ウォーズの新作が公開されるたびにネタバレとの戦いをしなければならないのですが、何を言うにも内容に触れないということが難しいので思い切ってネタバレしながら、色々と思うことを書こう。そうしよう。ということで、映画を観てから読むことをおすすめします。 スター・ウォーズにそんなに思い入れないので、あの、そんな感じです。
ちなみに前作『フォースの覚醒』は最初にシドニーIMAXで観て、日本で吹替、字幕、4DXと繰り返し映画館で鑑賞。今回も何度か足を運ぶことになりそう。
■何が”衝撃”だったのか。
公開前からあれやこれやと噂、推察するのが盛り上がるシリーズはいっぱいあるけど、自分の中ではエヴァとスター・ウォーズくらいのものじゃなかろうか。2つを同列に並べると怒られそうなのだけど、なんとなく繋がりを感じてしまった自分がいる。その話はあとで。
と、色々噂が飛び交うんですよ。「こういうストーリーなんじゃないか」とか「ルークが闇落ちする」とかそれはもう色々。だから、その期待を片っ端から裏切ってくれたライアン・ジョンソン監督に感謝。そして、ここまで予想だにしない展開が続いたことが大きな衝撃。誰も知らないスター・ウォーズがちゃんとあって驚いた。 前作『フォースの覚醒』からずっと気になっていた“主人公レイの親は誰なのか”問題にも今回言及しているんだけど、これが誰でもないというちょっと肩透かしな感じも、まんまと嵌められたなって気がする。パルパティーンとかルークとか、カイロ・レンと実は双子とかそういうの一切なし。もう逆にありがとう。だから、自分もさらっとネタバレしてみた。まあゴニョゴニョと濁した感じにもなっていたから、他の展開が待っているのかもしれん。
個人的に最も衝撃だったのは、フィンが脱出ポッドで出ていこうとするシーン。明らかに荷物を外に置いていたのに、ローズに詰められているうちにポッド内に荷物が移動していること。すごい。話しながら移動させるなんて、フォースの力かね。 というのは置いといて、やっぱり、スノークがあっさりと退場したこと。もちろん、カイロ・レン(アダム・ドライバー)とレイを前にして感情が昂ぶっていたというのはあるけど、あれだけすごい(であろう)悪役がフォースの力を何も感知せずに、真っ二つにされてしまったのか。あーやられたー。しかも、キレイに切り株じゃん、とあまりのあっさり具合に開いた口は塞がらず。
たとえ、カイロ・レンに「おお、愛弟子よー。早くその娘を殺してくれー」っていう気持ちが強くなりすぎて、他のこと考えられなくなっていたとしたら……マジ老いぼれ。「迷いが消えたようだな」的なことをレンに対して言ってたけど、それお前を殺す迷いだよ、バカなの。何が最高指導者だよ。いや、カイロ・レンの力が強大すぎた、そういうことか。
しかも、前作までホログラムでしか登場してこなかったのに、突然実体を現し、ハックス将軍(ドーナル・グリーソン)やカイロ・レンと直接対峙する。あろうことか、自身の戦艦をレジスタンスと戦う最前線に放り込むとか最高指導者がなすべきことではない。そんな気がして、ヤツはまだ生きているか、別の黒幕の影があるのではと勘ぐってしまう。けど、真っ二つだったしなぁ。もう老いぼれそうだったし。やっぱ、死んだかな。というか、エピソード9でのラスボスはどうなるの。わー気になる。
そして、色々な意味で驚いたのがレイア姫の宇宙遊泳。これはチートすぎて、どうしよう。
必死になって逃げるレジスタンスを追い詰めるファースト・オーダー。母の気配を感じ、攻撃に迷いが生じるカイロ・レン。前作でハン・ソロをやった時みたいにやっちゃうの、どうすんの。みたいなシーンがあって、興奮。で、結局やらないんかい。やっぱり、お前はまだ堕ちていないのか、と安心したら部下がやっちゃうっていう鬼畜展開。レイア、宇宙に投げ出される。これ、結構序盤にあるんだけど、「え、もう退場すんの」って誰もが思う、美しい映像。と思ったら、指が動く、手が動く、目も開いたと思ったら、みるみるうちにクルーザーに戻っていくではないか。なんやねん、この展開。ということで、まだ生きてるよ。
個人的にはキャリー・フィッシャーが今作の撮影が終わった、昨年末に亡くなったということでここでレイア姫自体を退場させるんじゃないかって思っていただけに、嬉しいのだけど、デジタル処理されたレイアが出てくるくらいなら、ここで退場でもいい。むしろ、退場させないってことは、相当に重要な役割がこの三部作にあるのかも。『フォースの覚醒』でハン・ソロを、『最後のジェダイ』ではカイロ・レンを生み出した責任をとって、ルーク・スカイウォーカーを退場させる。ルークに関しては「また、会おう」って言ってたから、きっと出てくるだろう。
何にせよ、過去の英雄を次から次へと退場させているだけに、次回はもう、そうだろうよ。これ、裏切ってくれるのかな。
■新キャラいいじゃん、どうでも。
賛否両論の新キャラたち。
まずは整備士のローズ。演じているのはほぼ無名のケリー・マリー・トランという女優。アジア系の風貌をしているので親近感がなんとなく湧く。役どころとしては、レジスタンスの一員としてフィンと共に行動し、活躍する。いや、活躍してないか。冒頭のドレッドノートという戦艦を沈めるための作戦で姉を亡くしている。そのため、彼女が頑張る動機がわかりやすく、その正義感と相まってた。けど、フィンとの軽いロマンスはポカンとなる。ちょっとこの邪魔者感は否めない。
最初はいがみ合っていた2人が、次第に距離を縮めていってというありがちなラブストーリーが展開していくのが、何か違和感。ついでに言うと、なぜ生かしているのか。あの流れのまま退場の方が自然と思うけど、フィンやさしすぎ。しかも、そのあとはレイと強烈なハグ。彼の揺れ動く恋模様はエピソード9で決着するのか。乞うご期待。 そんなこんなで、ローズに関してはいい働きしてたじゃん。そんなに可愛いキャラでもないけど、いいと思う。夢がある。
あとは、大女優ローラ・ダーンが演じるホルド提督。レイアに代わってレジスタンスの指揮をとるのだけど、何考えてるのかわからない。作戦があるのに、ポーに伝えないからポーは勝手に動いてしまう。しかし、最後の最後にやる捨て身タックルが絶妙すぎて、やばい。敵艦隊のど真ん中ではなく、ちょっとズレたところが、またいい。ここの観せ方が美しい。 けど、レイアが「犠牲を増やしたくない」と冒頭で爆撃隊が犠牲になったことに対し、ポーを責めて”神風特攻隊みたいな美学はない”と訴えているようだったのに、結局かい、という感じ。その後のフィンに対しては許さなかったけど。何なんだ。
結論からすると、2人とも退場してよかったと思う。うん。個人的にあんまり好きになれそうじゃなかったから。 あの可愛い感じのポーグでさえもそんなに、だった。チューバッカとのシーンはとても好きだけど。ああ、ハン・ソロ……。
個人的にお気に入りは石の星、クレイトに住んでる結晶キツネ。ヴァルプテックスっていうらしいが、その名前までカッコいい。これが一番好き。あとは、スノークの護衛をしていたエリート・プレトリアン・ガード。赤い衣装もいい感じだったけど、多様な武器でアクションシーンにバリエーションをもたらしていたことも含め、イイ。ここのレイとレンの共闘が最高。■今までとは違う、何か。
『フォースの覚醒』の時は、今までのスター・ウォーズのいいところをアレもコレもと持ってきていて、エピソード4を焼き直しているかのような印象があった。物語の骨組み自体もなんだか、そんな感じだった。新しいけど、新しくないみたいな。けど、レイとかBB-8とか可愛いし、カイロ・レンが中2病だし、いい再スタートとも。ただ、せっかく復帰したハン・ソロを早々に退場させたあたりはなかなか悲しかった。
それでも、今までのスター・ウォーズと同じようにファースト・オーダーに対して一旦、勝つという希望に溢れたラストが待っている。それと伏線やら謎やらを色々とバラ撒いて、さようならって感じ。
だから、『最後のジェダイ』ではそれが少しずつ語られる、と思ってた。そしたら、謎は謎のままで、エピソード9への期待が高まるばかり。みんな何者なの。
しかも、回収するどころか今までとは違う展開を見せていくことでスター・ウォーズが少し違う方向に行こうとしてる気がする。スター・ウォーズであるのは変わらないけど、過去との繋がりをうまく断ち切ったようにも思う。コミカルな部分もだいぶ増えていたしね。ケアテイカー好き。
懐かしさと一緒に、こういうのもいいじゃんって言われてる気がした。 ここに最初で書いた、新劇場版のエヴァと重ねてしまった部分がある。序、破と焼き直しをしたエヴァもやっぱり1作目は過去のやり直し。2作目で過去との繋がりを意識しつつも、今までとは違う切り口で方向転換を図っていた。ってだけ。どうでもいいですね。
『最後のジェダイ』はルーク・スカイウォーカー最後の物語。壮大なスカイウォーカー家の物語に終わりが見えた気がする。カイロ・レンでこれを続けるのか、それとも新しく何でもない人たちに焦点を当てた物語を紡いでいくのか。そんなフェーズに入った気がする。
ご都合主義的に進む物語ではあるけれど、これでもかと今までとは違う窮地に追い込まれる。そして、ラストがスッキリしない。何なら、ルークがクライマックス登場して、ファースト・オーダーと対峙して終わるみたいなのだってできたのに。というか、ちょっとそういう終わりを観ているときは期待したのに。何なんだ。
ジョン・ウィリアムズの鳴らすエンドロールのファンファーレでさえも、この感情をかき消せない。そりゃ賛否両論になるわな。『フォースの覚醒』で「またスター・ウォーズが帰ってきた。いえーい。こういうの観たかったよ」となっていたのに、今度はそうさせない感じ。こりゃ、次どうすんだ。
と、あーだこーだ長くなってしまいましたが、『最後のジェダイ』好きです。もっと続けって。ヨーダも出てくるし。
いちいち美しい映像とその構図。物語としてもまたひと段階進んだ気がして、本当に続きが楽しみ。ありがとう。サントラ買おうっと。
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