[映画の感想]予告でチラ見してからというもの気になって、気になって仕方なかった映画。ついに公開したので観ましたよ!韓国産のゾンビ作品で世界中で高評価で高速列車の中でパニックになって、邦題が何かしょーもないことになってる、それだけ知って劇場へ!
新 感染 ファイナル・エクスプレス
Train to Busan/監督:ヨン・サンホ/2016年/韓国/118分
劇場公開日:2017年09月01日劇場公開 公式サイト
映画川柳
守り抜く 家族の愛に 涙まで
ざっくり、あらすじ
とにかく、釜山へ行け!
ソウルから釜山へ向かう高速列車に乗り込むソグ(コン・ユ)とスアン(キム・スアン)。そこに乗り込んできた、少し様子のおかしい乗客。国中で起こる暴力デモ。何だか様子がおかしいと思った時には時すでに遅し。高速列車という密室で起きる感染パニックを家族愛を軸に描いた作品。
感想、思ったこと
色々なところで高評価を得ていて、煽るような宣伝だから「これはもしかしたら地雷かもしれない」なんて心のどこかで思ってた。タイトルも新幹線と安易に掛けた感じがしょーもないし、正直不安だった。原題は「釜山行き」これもこれで通じないけど、新感染はねぇ。劇団じゃないんだから。
■ゾンビと密室パニック
ゾンビ映画といえば、街中にうようよいて、みたいなことが多くて、基本的に逃げ場は広いイメージ。けど、逃げ場がない列車が舞台。その設定だけで面白い。
ゾンビのいない方の車両に移動するしかできない。高速で走ってるから降りるわけにもいかないし、テレビやネット、窓から見える外はもうやばそう。逃げ場のないシチュエーションってだけでドキドキ。これだけじゃ2時間持たないよなーとも思ったけれど、そこは上手いこと見せ場が次から次へと……すげぇ。
加えて、ゾンビが走る凶暴型。最近の映画はほとんどこのタイプだよね。たまにはノロノロタイプでもいいよ。と思いつつも、気色悪い動きがもう素晴らしすぎる。関節無視した手足の動き、だらしなく血を垂らした口元、生気を失い白く濁った瞳、とってもこういうの観たかったよ。
一人感染した人が乗り込んだ列車で、瞬く間に感染が拡がり、一瞬でパニック。この掴みが実に上手でグッと作品の世界に引き込まれる。朝方のみんな寝ぼけた感じなのも相まって強烈なオープニング。
ここからはあっという間の2時間とも言えるんだけど、なかなか釜山にたどり着けない息苦しさから結構長く感じる。これはいい意味で体感時間をコントロールされてるのかなーとも思った。
ちなみに、舞台となる高速列車、KTXはソウルから釜山まで2時間50分とかかけて行くらしいので、映画はほぼほぼ同じような体感なのかも。東京から新大阪、いやもうちょっと先まで行けるか……けどそんなイメージだなぁ。
■家族愛は王道といえば王道
そして、この映画の軸は家族愛。子どもがお腹にいる夫婦と主人公親子の2組がいい感じに父親、母親を表現。ラストにいたっては、まさか映画の冒頭が活きてくるとは思いもよらず、涙を誘ってくるという。ゾンビものもこういう愛はよく描いてきたと思うけど、ここまで響いてくるのは初めてなんじゃないかなって感じ。
死亡フラグの立て方も絶妙なんだけど、なかなか死なないクソ野郎もいたりして、すっげーイライラ。マジ、こいつ、早くゾンビに食われてしまえ!ときっと誰もが思うことでしょう。
そう、ゾンビも恐ろしい存在ではあるけど、人間も同じように恐怖の存在として描かれているのがすごい。これも王道的な展開ではあるけれど、ここがあることで、より家族愛の部分が響いてくるというスイッチにもなってた。
全体的にすごく良くできていて、主人公親子の成長が最初から最後まで一貫して描き出されていて、最後にやっと父になる的な、もう泣く。
エンドロール中、すすり泣く声が結構周りから聞こえてきていて、そういうことです。
何はともあれ、今年ベスト級のゾンビ映画。
グロテスクだったり、ホラー的な要素は結構排除されてて、パニック映画としての側面が強いのも見やすさの一つかもしれない。怖くないと言えば嘘だけど、驚かされたり、痛々しいことはほとんどない。
欲を言えば、そういう激しいヤツが観たかったのだけど、仕方ないですな。諦め。
韓国は時々こういうとんでもない映画をぶち込んでくるから恐ろしい。朝鮮半島の現状を踏まえても、恐ろしい。
それにしても目的地が釜山って何かいいね。映画の街。
おわり