[映画の感想]『レ・ミゼラブル』のヒュー・ジャックマン主演で贈るエンタメミュージカル映画。テンポよく、P.T.バーナムの半生を描く作品。”みんな違って、みんなイイ”そんな多様性を受容する世界をノリのいい楽曲で彩る、見やすい映画作品。
タイトル
The Greatest Showman/監督:マイケル・グレイシー/2017年/アメリカ/105分
劇場公開日:2018年02月16日劇場公開
映画川柳
華やかな 世界を支える 個性とは
ざっくり、あらすじ
よし、個性のあるやつ集めよう
貧しい家庭に生まれたバーナム(ヒュー・ジャックマン)は上流家庭のチャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)に恋をし、結婚をするまで努力をする。その後は、奇抜なことをして成功しようと奔走する。成功と失敗を繰り返しながら、個性を表現できない者たちに勇気と希望を与え、家族になるさまを描いた作品。
感想、思ったこと
映画って楽しく見れることがやっぱり大事だなと思う。正直、ノリきれなかった。
音楽はどれも素晴らしく、よかっただけに残念とも思いつつ。
作品が描こうとする、現代の多様性に対する姿勢はかっこいいと思う。
金子みすゞの「みんな違って、みんないい」です。
■多様性を受け入れる現代はサーカス
この映画、成功と失敗を繰り返しながらも挑戦し続ける、主人公P.T.バーナムを描きながらも
彼のサーカスで光のある場所へ踏み出すことのできた個性のあるものたち「フリークス」を
認める、受け入れるという部分で「差別や偏見」っていう、近年あるあるなテーマを描いてる。
それなのに、スポットライトを浴びるのは一部の個性のみ。
個性豊かなキャラクターがいるはずのに、モブキャラ扱いってどうなんだ。
もちろん、メインは主人公の半生なのだから、そこまで掘り下げる必要はないし、
彼自身も生まれや育ちで「他人からの視線」に耐えて生きてきた姿があって説得感はある。
■ヒューもザックもさすがだなって
ミュージカル経験のある、ヒュー・ジャックマンとザック・エフロンの安定感。
これなくして、この映画はなかったのではないかというくらい。
バーナム(ヒュー・ジャックマン)がフィリップ(ザック・エフロン)を誘う
バーの掛け合いシーン。これが本当に歌、パフォーマンス含め素晴らしい。
「The Other Side」ね。注目。
■時代を超えた今風な楽曲の数々
『ラ・ラ・ランド』の作曲チームが書いた曲は、
どの楽曲も本当に耳触りがよくて、気分を上げてくれる。
オープニングの音楽と映像の編集の妙はかっこいいし、掴みバッチリ。
サントラで聞くのとはまた違う、映画で聴く意味を改めて教えてくれる。
アカデミー賞にノミネートされてる「This Is Me」に関しては
言わずもがな名曲で、歌詞の内容もキャッチーなメロディも好き。
ドラムを使った、「前に進むんだ」というマーチ感が最高。
こればっかりはちょっと受賞して欲しいくらいだし
アカデミー賞でのパフォーマンスもとっても気になる。
ミュージカルのよさは、歌曲でエンターテイメントを彩れること。
それは別に時代設定とかを無視していいとは思うんだけど、ね。
けれど、あまりにもテンポのいい現代風な曲が続きすぎて
胃もたれをする感じがこの映画にはあって、それだけがちょっと残念。
オペラ、とは。なんだったのか。
他がイイだけにバラード楽曲の弱さもなんだか、気になってしまった。
好きな映画でもあるけど『ムーラン・ルージュ』なんかは
ポップスをアレンジして、作品世界に落とし込んでいたりして
上手いことマッチさせることもできるはずなんだけどなぁ。
■映像作家だった監督ならでは
元々ミュージックビデオやCMを手がけていたというマイケル・グレイシー監督。
だからこそ、映像と音楽の見せ方がとっても巧いなと思った。
頭上から俯瞰しながら見せるダンスや縦横無尽に動かすカメラ
多様性を意識した、衣装・美術含めた色彩豊かな演出。
しかし、だんだん繰り返されるそれに飽きてくるのもある。
極端な話、ミュージックビデオをずっと観ているかのような
そんな気分にさせてくれるくらいお見事な映像と音楽でした。
■まとめ
今、この世界自体が史上最大のショーであり、サーカスのように
色々な人がごちゃまぜに過ごして、差別も偏見もまだあって、
認められたり批判されながら生きているのだなーと改めて思う。
そして、愛や家族を描くのだけど、サーカスは
それをネタに見せ物として機能しているんですよね。
映画もそうだよね。人種差別、LGBTとか
現代社会で話題の個性をネタに見せ物にしている。
そこまでこの映画が語っているのかわからないけど
栄光の光があれば、影もきっとある。
おわり