[映画の感想]ジョセフ・ゴードン・レヴィット主演の綱渡り映画『ザ・ウォーク』試写会で一足早く観てきました!テンポよく進む物語と手に汗握る綱渡りの緊迫感は映画体験として申し分なかったです。ワールドトレードセンターなき今、思うことも色々でした。
ザ・ウォーク
The Walk/監督:ロバート・ゼメキス/2015年/アメリカ/123分
劇場公開日:2016年01月23日劇場公開 公式サイト
映画川柳
究極の 手に汗握る 綱渡り
ざっくり、あらすじ
綱渡りしたいんだ!
フィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン・レヴィット)は大道芸人として生きていた。ある日、ワールドトレードセンターという世界一高いビルに出会い、そこで綱渡りをしようと決意し、実行する。そんな彼の生き様を描いた作品。
感想、思ったこと
正直言って、映画を観るまでこんなバカげたことをする人がいたのか、と思っていました。だって、地上411mの高さで命綱もなしに綱渡りをするんですよ。命知らずにも程があるというか、信じられないですよ。手汗がすごかった。
■映像体験としての3D
綱渡りの映画なので、何度も何度もそのシーンが登場します。どれをとっても3Dであることが活かされていて、これを2Dで観るのはもったいないなーと思うほどでした。
ただ、3Dに酔いやすい人だったり、高所恐怖症の人にとっては拷問でしかないんだろうなーと思いました。ムリはしないでくださいね。
3Dって「飛び出す」というイメージが強いと思いますが、『アバター』以降、映画で使われてる3Dは「奥行き」を意識させているのかな、と思います。『ゼロ・グラビティ』なんかはこれを最大限に利用して、どこまでも果てしなく続く宇宙空間を表現していました。
この「奥行き」は上下に使えば「高さ」を表現できるので、綱渡りをしているシーンでは下の景色を映しながら、その高さを強く感じさせることが出来るってわけです。『PAN ネバーランド、夢の始まり』でもその可能性は充分に感じさせられましたけど、こっちの方が現実味を帯びている分没入度が違いますね。
また、綱渡りシーンで「奥行き」を表現すると、ワイヤーがどこまでも続いているかのような「距離感」を感じられるので、3D効果が抜群に活かされているなーと思いました。
なので、耐えられる人はぜひ3Dで体験して欲しい映画です。出来る限り、スクリーン以外目に入らない距離感の前の方の座席を選んだ方がいいかもしれないです。大阪のエキスポシティのレーザーIMAXだと迫力が違うんだろうなー。
■テンポよく進む、ドラマ
このフィリップ・プティの物語ってドキュメンタリー化していて『マン・オン・ワイヤー』って作品になっているんですよね。しかもアカデミー賞を受賞するような作品です。
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人柄とかはそっち観たほうがわかるような気もしますが、『ザ・ウォーク』でもジョセフ・ゴードン・レヴィットが彼になりきっています。なおかつ、観客に語りかけるように物語を進めていくので、ものすごくわかりやすいです。
それでいて、テンポよく進んでいき、ワールドトレードセンターでのパフォーマンスに至るまでの展開にはドキドキさせられました。違法とわかりながらも彼に惹かれ、巻き込まれていく人たちの思いなどもちゃんと映しつつのテンポ感はよかったです。
そして、クライマックスの綱渡りシーン。しつこいくらいのそれは「早く、終われ」と大量の手汗と戦うハメになりました。マジで、こんなにも手汗拭きたいと思った映画は今までにあっただろうかというくらい、ずっと手グーにして耐えてました。ハンカチ用意してくださいね。
でも、そんな戦いだけでなくワールドトレードセンターの屋上、地上411mからの朝焼けはとんでもなく美しくて鳥肌ものでした。その時に思ったのは、「もう、ワールドトレードセンターってないんだよな」ってことです。
この映画で描かれている大事な部分のひとつが、今はもうこの世に存在しないものっていうのを思ったら、何だかただの綱渡りに見えなくて。
亡くなった俳優さんの遺作とかを観ることに似ている感覚というかなんというか。不思議なものです。あれから、もう10年以上が経っているというのに。
事実として、綱渡り自体はハッピーエンドだったかも知れないですけど、映画のラストには何だか苦さが残りました。そういう感じは好みでした。これはおとぎ話じゃないんだなって思うしかないですもん。
『ゼロ・グラビティ』以降、久々に3Dで観ることに意味がある作品だと思います。苦手でなければ、3Dでの映画体験をおすすめします。もう、決して観ることの出来ない絶景を楽しんでください。
予告編