[映画の感想]『トイ・ストーリー3』で完璧と言ってもいいほどのキレイな終わり方をしてくれたシリーズ。「なぜ、続編を?」と疑問に思ったけど、これはこれで納得する部分あり。さすが、ピクサーというまとめ具合。とはいえ確実に賛否両論、分かれそうな過去作とのギャップがあるのも事実。難しい作品。
トイ・ストーリー4
Toy Story4/監督:ジョシュ・クーリー/2019年/アメリカ/100分
劇場公開日:2019年07月12日劇場公開
映画川柳
リスタート おもちゃで描く 人生観
ざっくり、あらすじ
ゴミから生まれたおもちゃ・フォーキーとウッディ
前作でアンディからボニーへと世代交代されたおもちゃたち。ボニーの部屋でいつも通り過ごしていた。
ある日、ボニーが幼稚園の体験へ行く。そこでボニーがゴミで作ったフォーキー。彼がウッディの運命を変えることになる。
ボニー一家のドライブについていくおもちゃとそこで巻き起こる色々。そして、人生について考えさせられる作品。
感想、思ったこと
やっぱり、どうしても、なんで続編作ったの?という気持ちが大きくてどうしようもない。けど、映画を観終わるとなんとなく作らなきゃいけなかったような気もする。持ち主の世代交代とおもちゃ自身の世代交代。時代の変化。
■安心して観ていられるピクサーアニメ
あんまり大きくハズれになることが少ないというか当たりの方が多くて、毎度驚かされるんだけど今回も安定感バツグンで見やすかった。
おもちゃたちの視点で描かれる世界観と縦横無尽に動き回るアクションの数々、シリーズおなじみのホラーテイストな演出などがぎっしり詰まっている100分。きっと子どもが飽きずに観続けられるギリギリラインくらいの上映時間なのも親子でいくにもピッタリって感じ。
ピクサーというかディズニーアニメでお馴染みのイースター的な隠しキャラ探しに夢中になってましたが、モンスターズ・インクのブーが多分いたのと、キーブレード感のある鍵だったことくらい。絶対もっと色々隠れてるはず。
吹替版での上映がおそらく多いんだけど、今回は字幕で観ました。ウッディはトム・ハンクスです。
■アイデンティティを追い求めるおもちゃ
トイ・ストーリーっておもちゃがおもちゃであるってのを受け入れることを描きながら、さながら人生のように色々な選択を語るってのが大人も楽しめる要因なのかなって思うわけです。
おもちゃの存在理由ってずっと「子どもに遊んでもらう」ところに結びついていて、それ以上でも以下でもなく。ずっとこのシリーズはそんなことを語っているところが少なからずあったかな、と。おもちゃであること、アンディのおもちゃであること、子どもに遊んでもらうこと、持ち主がいるかいないか……親と子の関係にも近しい。
けど、今作ってそこから思い切って離れようとする。戦力外通告みたいな。解雇でもいいし、定年退職でもいい、老後って感じ。新しいヤツが現れて、自分と取って代えられてしまう。なんとなくこういうのってみんな経験してるかもしれない。そういう意味で描かれているウッディの姿、妙に納得感がある。哀しささえも感じさせる。人生のセカンド・チャンスとは。
■自己犠牲の精神で進む、ウッディ
ウッディってさ、シリーズを通してもずーっと自分のことを犠牲にしてでも仲間を守るとか、アンディのためにとか動くじゃん。保安官っていうところも関係しているのかもしれないけど。
自分の立ち位置を脅かそうとするバズに対しても、いじめてくるロッツォにだって、手を差し伸べるわけですよ。今回も同じ。
だから、そろそろ、そういう重荷を下ろしてあげてもいいんだろうなって。ずっと誰かのために生きてきて、ついにマジで必要とされなくなって。ちょっと言い過ぎか。もうウッディがいなくてもいいよって。
でなければ、このシリーズって永遠に続いてしまうよね。無理やり話を膨らませ続ける少年漫画みたいに。
ボニーの次にまた子ども用意しちゃえばいいんだもん。けど、そんなに甘くないし、何度も何度もチャンスとか転機って訪れないから、ウッディの選択には納得してしまった。これもある意味、自己犠牲。
■確実に技術を高めていく映像表現
やっぱりピクサーって質感へのこだわりが半端ないなって思う。雨の描写をさらに高めてきててびっくり。傘の短編アニメーションの時も思ったけど、それ以上になっているように感じる。技術の進歩恐るべし。
とにかく冒頭の雨、リアルすぎてビビる。光の加減といい、水滴の表現といい、なんなんすか。
あとは、ボーの陶器感もより仕上がってる感じがあったし、新キャラのぬいぐるみコンビのもふもふ感もいい感じ。
■まとめ
20年以上に渡って描かれてきたトイ・ストーリーだからこそ描ける内容であるのは間違いないのだけど、やっぱりシリーズとしては蛇足感が否めないかなー。けど、やっぱりトイ・ストーリーいいよね。楽しい。次回作はなくていいからね。
やっぱ、4K版揃えようかなぁ。
おわり