[映画の感想]漫画原作で劇場版アニメやテレビシリーズにもなった『亜人』。佐藤健と綾野剛のスピーディな殺し合いアクションが楽しい。原作とは設定やストーリー自体も変わっているので、新たな気持ちで見れるかも。
亜人
監督:本広克行/2017年/日本/109分
劇場公開日:2017年09月30日劇場公開
映画川柳
死ぬたびに リセットされる この衝動
ざっくり、あらすじ
死んでもあなたを止めてみせる
死んでも蘇る新人類”亜人”である永井圭(佐藤健)と、過激派亜人の佐藤(綾野剛)との対立を描いた作品。
感想、思ったこと
映画開始早々に漫画やアニメの設定とは大きくことなる永井圭にびっくり。けれど、その設定も中途半端に出てくる程度で何のためやら感があってちょっと萎えた。
■漫画やアニメでは見れないアクション
最大の見どころはなんといってもスピード感しかないアクション。『るろうに剣心』シリーズのアクションチームが佐藤健と再タッグを組んだからには、もう間違いないよね。身のこなしに見入ってしまうこと間違いなし。佐藤健がすごいのは言うまでもないけれど、佐藤を演じた綾野剛も最高。感情のない演技とリズミカルに人を殺していくダンスのようなアクションが相まって、非道な亜人感を際立たさていたなーと。
劇場アニメ版の1作目、感想を書いてます。この時もアクションがカッコイイと言ってて、亜人の魅力はここなんだろうなと。けど、アニメ版でもこの実写ならではの躍動感やスピード感は出せてなかったし、原作とは異なる設定にしたからこその見せ場もあったから、そういう面では実写化成功になるのかも。
川栄李奈と城田優のバトルも予告以上に楽しかった。
言ってしまうと、アクション以外の見どころは綾野剛の肉体美と佐藤健の肉体美くらい。綾野剛に至ってはお尻見せちゃってるから。二人とも結構鍛え上げていて驚く。あれくらい筋肉あれば、こういう動きもできるよなって説得力あり。筋肉とお尻、これがスピーディなアクションに繋がっている、と。
■圧倒的に時間が足りない
漫画もアニメも話数を重ねて、一つの大きな物語を紡いでいくのに対して映画はだいたい2時間で完結。だから、実写化とかになると3部作構成にするとか、シリーズ化するとか原作のエピソードをピックアップしながら作られる。今作に関しては「永井圭VS佐藤」という対立を109分の間にアクションたっぷりで見せる方向で進んでいく。
だから、永井圭が何を思って、佐藤と対立するのか。こいつ誰なの?や戸崎って何者?みたいなキャラクターに対しても疑問が大量に出てくる。その極みはラスト。亜人っていう新人類の設定が多く語られないから、ちょっとよくわからないまま、よくわからないモヤモヤで終わっていく。
序盤は「あ、ここのエピソードを最初に持ってくることで見せ場を作ってるんだな」って納得感があった。けど、アクションよりも駆け足で進んでいく物語に違和感が。原作を知っているからこそなのはわかっているけど、これはちょっと観客を置いてけぼりにしすぎな気も。実写映画として結末を用意しなければいけないから仕方ないとは思うけど。
劇場版アニメと同じく3部作構成にするか、せめて前後篇とかで永井圭だけでも掘り下げてくれたら、アクションだけじゃない「生きること」について考えさせられる作品になったと思うのになぁ。原作やアニメではその色がちゃんとあるから面白いのに。ちょっと残念。
おわり。